見出し画像

『ドラゴン姥桜』田丸公美子

米原万里経由で好きになったイタリア語通訳の田丸公美子さん。彼女の『84 シモネッタの本能三昧イタリア紀行』で彼女のチャーミングさが好きになった。調べていたら、彼女の一人息子は開成に入学し、ストレートで東大入学し、表彰され、弁護士になったという。私はアラフォー未婚なので、子育てにはさほど興味がないが、シモネッタさんが好きなので読んでみることにした。

ユウタ君はガリ勉ではない。茶髪を叱れば翌日金髪にする。開成では応援団長になるほど、人望も厚い。乳飲み子の頃から美人に目がなく、中学時代からとびきり美人の彼女を作り、高校時代には彼女の両親にも「娘が繁華街をうろつくよりは」と家に宿泊を許される。家庭教師になれば生徒の女の子が彼に恋して勉強が手につかなくなるため、解任。祖父母を大事にする優しい子でもある。

一言でいえば「リア充」。彼は器が大きい、ポテンシャルが高い人なんだと思う。育て方でどうこうできるものではなさそう。でも随所にみられる田丸さん(と旦那さん)のチャーミングさ、ユーモア、頭の回転の良さが基盤になっていそう。イタリア出張で田村さんが家を空けるときは、「私を忘れないでね」とプレイボーイのピンナップを壁に貼る。顔だけ田丸さんの写真が貼り付ける。高校生のとき、休日に「いつ出かけるの?彼女が来るから早く出かけて」と言われたら、「そんな使い方をするなら休憩料も延長料も頂戴するわよ」と返す。反抗期なんかもあるけれど、息子はやっぱり母親に一目置いていたんだろう。


母親って可愛かった幼い息子のたった一言をずっと大切にしていたり、彼女に(寝)取られたりしても見守る、可愛くて強い人たちなんだな、と思った。

90 ドラゴン姥桜


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?