小田みやこ-小鳥遊京子-

種子島在住・3児の母・フリーライター・音楽事務所Vanir所属作詞家[ヘキとらハウス・…

小田みやこ-小鳥遊京子-

種子島在住・3児の母・フリーライター・音楽事務所Vanir所属作詞家[ヘキとらハウス・EBIDAN etc...] 自らの直感と確信、そして周囲からの影響や助言をもとに構成されているアラフォーです。座右の銘は「美容より滋養」。好物は白子とウニ。嫌いなものは心の距離感バグってる人

最近の記事

幸せの致死量

私は幸せがとても怖かった 当たり前のように父親がにこやかに帰宅をして食卓を囲み、 穏やかに流れる時間を経て微睡に落ちる。 そんな絵に描いたような幸せが、怖かった。 何か一つが欠けて仕舞えば簡単に崩れてしまいそうで、 その幸せの足元にポッカリと不幸の入り口が口を開けているようで。 夢の余韻だけ残していつかなくなってしまうのではないか、自分には不似合いではないのか。 逆に不幸せの中ではがむしゃらで生きていることができた。 歩みを止めて仕舞えば簡単にどん底まで滑り落ちてしま

    • 自己満足で何が悪い

      お前のしていることは、自己満足でしかない。 まるで世の中の全てを知っているかのような勝ち誇った表情で言われたことがある 子供がいるのだから、母親なのだから、嫁なのだから 創作なんぞ、不確かなものではなく生活に集中するのが良いと、その人は助言という建前で私にそう言い放った。 自己満足で何が悪い 私は、自らが満足できないものを世に出す気もないし、図太くなれない。 自信はないけど頑張ってます、なんて料理長がいるレストランは、きっとそれなりかそれ以下のものしか出せない。

      • 交換日記

        「note、読みました」、とLINEが届いた。 そこには、興味本位や冷やかしでは決してない、とてもまっすぐで優しい感想の言葉が並んでいた。 彼女からしたら私は、思春期の中のほんの数年を同じ校舎で過ごしただけの相手かもしれない。 彼女はいつも、狭い教室の中、我が物顔でわざとらしく騒ぐ集団を一概もせず、自らの好きなものの話を夢中でしてくれた。 おっとりとした雰囲気をまとっている一方で、好きと嫌いがはっきりとしており、私だったらヘラヘラと受け入れてしまうような苦々しい言葉にでさ

        • 劣等感が生きる糧

          誰もが羨むような何かを恨み憎むことで、私は自我を保っているのかもしれない もう少し器用なら もう少し見た目が良かったら もう少し才能があったら もう少し、もう少しと決して"少し"では埋まるはずない理想との差を誤魔化してくれるのは、その"もう少し"を贅沢に備えている誰かへの劣等感だ。 仕方がないと諦めがついた時に生まれる劣等感が、安定剤となり現実を見つめる強さを与えてくれる。 そして刃を突き立てる勢いで嫉妬を向け、自分とその対象の差や違いを冷静かつ血眼に探した時に気づい

          断捨離のすゝめ -人間関係の衣替え-

          "だけど、良いところもあるの" そんな言い訳で、恋人や友人、家族を守ったことがある人は、決して少なくないだろう そして、そんな言い訳で守られている人には、あらゆる期待がかけられるのだ ちゃんと話し合いができたら、結婚をしたら、子供ができたら、子供が生まれたら、孤独を知ったら… "きっと変わってくれるはず'だ、と。 そう望みをかけて結婚し、離婚した私が知ったことは、変わってくれるはず、という望みがとても薄っぺらく、自己中心的だということ。 もしかしたら、"その人"にとっ

          断捨離のすゝめ -人間関係の衣替え-

          全ては幸福のスパイス

          もしも今、自らが不幸の最中にいると感じている人がいるのならば、それはとても幸福なことだと気づいて欲しい。 不幸と一言で表しても、その状況は様々だろう。もしかしたら、他の誰かと比べて『自分はまだ恵まれている』と思うことで切り抜けようとしてしまうかもしれない けれど、あなたが見る空の青色が、その他の誰かにとって同じ"青色"に見えている保証がないのと同じように、感情や心は比べようがないのだ。 ただ、どのような状況だとしても、あなたにとって心苦しい日々が、出来事が自らを取り巻い

          全ては幸福のスパイス

          死ななきゃいいんだよ

          独りで生きていくことですら余力のなかった私が、いつの間にか3児の母になっている。 口に入れるもの、身に着けるもの、細やかな挙動 そのどれ一つも見逃してはいけないと、命を預かるプレッシャーと戦っていた 一人目までは 2人目を無事産み落としたときに私は悟った。 人は死ななければいいのだ 赤子は嫌なことがあれば泣いて知らせてくれる。 空腹も然り、体調不良も然り、だ 少しのケガでは死なない 破傷風で死んでしまうような衛生状態の国ならば、もっと生めよ育てよの風潮が根強く残って

          死ななきゃいいんだよ

          優しさの棘

          わざとらしいくらい晴れた初夏のある日ー 祖母が突然この世を去った。 祖母は優しい人だった 物心ついた時から私の頬や手に添えられていたのは、魚と野菜との匂いが混ぜこぜになった、私の人生において唯一の団欒を作り出してくれる祖母の手だった 私を誰よりもかわいい子だと、優しい子だとまるでお世辞のような、よくできた口説き文句のような言葉をかけながらゆるゆると髪を梳いてくれた 祖母は優しい人だった 朝、私が目覚める前までに家の玄関をくぐり、優しくゆすりながらまどろみをほどいて