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診断基準

2023年の6月に出版されたDSM-5-TRを買って勉強しています。
まだ、「はじめに」の部分しか進んでいません。

DSMは、精神疾患の診断・統計マニュアルで
ひとつの病名に対して色々な統計や症例が書かれていて、
マーブルな精神症状を検討するのに必要な実用的なガイドブックです。

一つの病名でなく混ざっている人が多い。
だれもが、どれかに当てはまるだろうと思うこともあります。

「はじめに」の文章で、衝撃を受けた一文がありました。
「アフリカ系アメリカ人は統合失調症の誤診を受けやすい」というものです。

民族、人種、属性が病気の判断材料になってしまうということです。
診断する医師によって、結果が変わってしまうということです。
身を置く環境によって評価が変わってしまうということです。

私は、ダンスを踊っていて、お付き合いするひともオープンな人が多いです。海外の選手との交流があったりして、自己主張することが当然の権利だと思っています。

だから、勤める病院では、「強い」「強すぎる」「リーダーシップを取りすぎる」と言われたこともあります。
なかには、「薬でもやってるんじゃないか」という人までいます。

気の合うお友達は皆このテンションですけど・・・って感じ。
なので、人に何を言われようと無視しています。

私は精神科の看護師です。
勤め始めたころは、同じ世代の統合失調症の患者さんが、保護室から出られずに悶々としている姿を見て、同じ年代なのに、こんな生活を送らなければならないなんてと、病気の患者さんを可哀そうという気持ちで見てしまっていました。

私も若くて、患者さんを受け止めることができず、当たり障りのない受け答えや、同情するような態度を取っていました。
腫れ物に触れるような感じです。
この対応は、患者さんにとっても自分にとっても良くないということを教えてくれた医師がいます。

コミュニケーションスキルトレーニングをしてくれた医師です。

患者さんは患者さん、自分は自分。
相手の心が揺さぶられていても、自分は自分を変えなくて良いと言ってくれたのです。

この医師の言葉が私の心をとても軽くし、精神科の看護を楽しめるようにしてくれました。患者さんと一緒に病気とどう付き合っていくかということを考えられるようになったのです。

私は解らない患者さんの気持ちや症状について、どんな感じか本人に直接聞いたり、どうなりたいかを聞いたりすることが普通に出来るようになったのです。

踏み込んではいけない気がいていたところにも入っていける。
患者さんが、私を受け入れてくれたらの話だけれど・・・。

一人ひとりの違う人間性や価値観に触れることは私の人生にもとても良い影響を与えています。生きるということ、人生とは何かということを考える機会が沢山与えられ、たくさんの学びが得られています。

DSMのマニュアルを見て、
何処の国でも、どの社会でも、周りと違う人は異物として扱われるということを実感しました。
理解されないからです。

自分は自分で良いという医師の言葉は私を強くしました。
本当にその通りだし、周りに合わせずに、自分の人生を生きていくということがどれだけ大切なことか、どれだけ自由なことか、どれだけ満たされるかということに気づいたからです。

どこに身を置くか、どんな人と付き合うか、どのように振舞うか・・・。
解っていたらいろいろ応用が利きます。

診断がすべてではない。
診断結果も変わることがある。
柔軟性、人間力、創造力・・・
たくさんの領域でいろいろなことを学べる。
精神科看護は芸術。

1人の人をじっくり見る。
ガイドラインを見て、改めてその大切さを実感しました。
今日もお仕事楽しみます。

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