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椿
低空飛行の太陽は
師走の午後に急かされて
顔を埋める杉林
温もりばかりを求めては
隣の山に逃げ延びて
木漏れ日眺める日陰者
恋しい誰かに会いたいと
枯葉模様の獣道
歩き疲れて四つん這い
山の椿は立ち止まり
精一杯の背伸びして
届かぬ歌を身に宿し
数えた季節にどのくらい
花を咲かせて落としたろう
枯れた片手もそのままに
山の椿は身代わりに
命を費やす意味を知り
今年も一輪咲いたなら
落とす一輪受け取ろう
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール