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水面

あっさり人って
死んじまうもんなんだな
別れをちゃんと伝えるなんて
実際無理な話しなんだけど
不自由な肉体なもんだから
後悔したりもするもんだ
最後に会った時に
元気な姿だったなら
尚更信じたくもないもんで
どうせ何時もの嘘なんだろ
あっさり騙されてやるから
はにかみながら戻って来いや

水面に浮かんだ風景は
忘れ続けた懐かしさとして
空が反射しているのやら
深海が覗き込んでいるのやら
その場所はもうわからないし
互いの姿も見えなくなった

水面をうろつく僕の顔
それを眺める僕の顔
浮かんだ言葉が沈むまで

水面に沈んだ風景を
代わりに見つめ合いましょう
また会えるかなんてわからない
だから結局さようならなんて
しないまんまで良いんだよ
覚えていてもいなくても

水面に滲んだ僕の顔
それを睨んだ僕の顔
沈んだ言葉が浮かぶまで


やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール