朝の周遊
細い路地
急勾配の階段
苔生した石積み
日毎移ろう色と影
通りすがりのすれ違い
朝は言葉も温まらず
無言で交わすひとひらの
声を小鳥が啄んで
野原に芽吹く花の房
続けるだけの営みに
楽しみひとつもなかろうが
今日の天気のご機嫌や
流れる雲の歩幅など
単なる景色の様々に
喜び数えてみるもので
それが私を作るなら
私は私と出会うだろう
分け合うつもりもないけれど
胸に小さく織り込んで
何のためにと皺を寄せ
忘れぬように反芻し
私に手紙を書いてみる
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール