見出し画像

もうじき

老婆が縁石腰掛けて
もうじき迎えが来ると言う
視線の先を見やるけど
赤の他人が過ぎるだけ

子供は石蹴り通学路
もうじきサンタが来ると言う
モールのワゴンに並ぶのは
割引値札のプレゼント

中年男のオルゴール
もうじき夜明けが来ると言う
汗に流れるアルコール
涙は社会の切れ端に

今しか無いのが薄情と
もうじきばかりを口にする
未来はもうじき過去となり
今はもうじき今のまま


やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール