マガジンのカバー画像

205
壱貫亨司詩作集め
運営しているクリエイター

#ポエム

重なり

重なり続ける人生は 何度も何度も繰り返し 古びたフィルムを映写する 消える事なき背中越し 輝…

壱貫亨治
3年前
25

風が冷たさ纏う頃

季節を綴じたクロゼット 去年の上着を取り出して 思い出挟んだ栞には 毛玉がひとつ転がった …

壱貫亨治
3年前
24

椿

低空飛行の太陽は 師走の午後に急かされて 顔を埋める杉林 温もりばかりを求めては 隣の山に…

壱貫亨治
3年前
28

ペンだこ

中指先っちょ傾いた 関節辺りに居座って 無言で忍ばす自己主張 仕事を手伝う片手間に 捲る言…

壱貫亨治
3年前
27

懐古食堂

カウンターにはちらほらと 今も昔もディスタンス 居並ぶ昭和の郷愁も 生まれは意外に平成だ …

壱貫亨治
3年前
25

十年前

十年生きたわけじゃない そんな子供も語り出す 大人に聞いた物語 地面がドカンと揺さぶられ 海…

壱貫亨治
3年前
23

流星群

なんて事ない塵屑が 末期に放つ美しさ 毎年決まってやって来る こちらの都合は構い無く 空の記しは地の記し 知った風な口を利き 酸いも甘いも井の中で オタマジャクシの半端者 自慢学歴コネも無く ガムシャラだけを慰めに 揚揚ここまで来たものの 生まれ持っての塵屑は 輝き纏う柄も無く 器用貧乏照れ隠し 挙句に梯子を外されて 学んだ事は浅ましさ お陰で気付く無垢の声 穢れを知れば尚の事 塵屑らしさを腹に据え 散華の前の煌めきを 喉に押し込み咽せながら 泣き虫笑顔で

氷の灯

揺るぎないもの削ぎ落とし 夜のしじまに火を点す 消えないように隠し持ち 氷の中に閉じ込めて…

壱貫亨治
3年前
22

幸福

誰も知らない傷跡を 胸に携え生きている それをおくびにも出さないで 素知らぬ顔で笑ってる そ…

壱貫亨治
3年前
27

パレード

ラッパを鳴らして行進だ 悲観楽観アルミ缶 大量消費のリサイクル 空は血迷い地は腐れ 予言書…

壱貫亨治
3年前
55

水面

あっさり人って 死んじまうもんなんだな 別れをちゃんと伝えるなんて 実際無理な話しなんだけ…

壱貫亨治
3年前
21

コーンスープ

いつも何かに追われてる 仕事の合間の昼食も 欠伸の振りして休むだけ だからと言ってこの日々…

壱貫亨治
3年前
24

待ちぼうけ

頭からっぽ そんなわけない 横断歩道渡らずに 立って座って 赤を待つ 心ばらばら そんなはず…

壱貫亨治
3年前
28

夜道の背中

闇を被った街灯が 途切れ途切れで結ぶ道 誰も居るはず無かろうと 腑抜けた面を引き摺って 月まで伸ばした影法師 梢の隙間にスクロール 毎夜爪弾く足音は 棚引く季節を携えて 旅を重ねる往来に 愚痴でも落として音を聴く 気紛れ詰め込む風船を 破裂するまで膨らませ 見果てた事もないくせに 取っ替え引っ替え夢を見る 夜道の背中に手を添えて 沈まぬ星まで歩けたら