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壱貫亨司詩作集め
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#ポエトリー

もうじき

老婆が縁石腰掛けて もうじき迎えが来ると言う 視線の先を見やるけど 赤の他人が過ぎるだけ …

壱貫亨治
3年前
21

ペンを取る

語り尽くせぬよしなしを 昼餉の残りで餌付けして じっと見詰めた横顔も すぐに忘れてしまうか…

壱貫亨治
3年前
27

乱視

見上げる月は分離して 並行世界の夢を見る 愛する人の傍で 何処かの僕も生きていて 羨みより…

壱貫亨治
3年前
27

にちにちニッチ

コッソリとっぽり日を刻む 三日坊主の読経に ポッタンかっぽんしゃれこうべ 溢れて消える塵屑…

壱貫亨治
3年前
23

月と私と犬っころ

月と私と犬っころ 毎晩夜風に待ち合わせ 近視の月は気紛れで 遠く眺めりゃ合点いく 解ったつ…

壱貫亨治
3年前
25

敗走

慢性疲労の生活を 耐え抜く為のリズム感 慣れてしまえば自然体 悔し涙は使い捨て 負けず嫌いの…

壱貫亨治
3年前
19

生まれた事を思い出す

淡々と過ごすだけなんだって 暇さえ有れば言い聞かしてみたり 遠くばっかり見ていたいんだって あくせくしながら目をつぶってみたり 感情という物の取り扱い方法が ちっとも頭に入って来ないもんだから 筋道が無駄に交錯する夢の最中で いっそ寝首でも掻いてやろうかしら もうダメだって吐き捨てたりするのも 独り言のフリして誰かに言ってたり 何ら再利用もできやしないだろうから 不燃ゴミの回収日にでも突っ立ってたり 煙も出せなくなった煙突みたいに まるで意味を成さない存在として

距離

夜空にポツンと座ってる 下弦の月に僕の影 僕があなたを見るように あなたも僕を見るのかな …

壱貫亨治
3年前
27

よみがえり

いよいよ時節が整った 一世一代の大仕事 或いは稀代の白日夢 三坪程の公園で 跨る思想と滑り台…

壱貫亨治
3年前
20

主人公

誰も相手にしないから 夜な夜なネットに顔浸す 滲んで溶け出す魂が 闇の鱗に沈殿し 遂には影…

壱貫亨治
3年前
16

また会う人へ

誰もいやしないのに 気が付けば話しかけていて 返答も無くて当然だけど 悲しくなったりもしな…

壱貫亨治
3年前
28

打って打って打ちまくれ 下手な戯言未練の世情 迷いと別離の夜半には 覚悟と寒気が鍔迫り合い…

壱貫亨治
3年前
16

信頼

自分の事は分かってる そんなつもりでお膳立て 根拠も理念も飾り物 信じる事を丸投げの 夢は…

壱貫亨治
3年前
15

頓服

妬みが集った横槍を 野暮が付くほど打ち込まれ 白旗上げても容赦なし 罵り嘲り暇潰し 店頭並べた消毒薬 不安や恐れにゃ効果無し それでも群がる子羊を 鞭で打つなど出来なかろう 話し相手は開業医 パソコン眺めて顔も見ず 街で会っても気付かない 終わりにご褒美処方箋