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壱貫亨司詩作集め
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2022年7月の記事一覧

ヤマブドウ

くるりとツルを絡ませて お日様目指して顔を出す 一人じゃ立てずに寄り掛かる ブナやらケヤキ…

壱貫亨治
2年前
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玉は砕けて音が鳴る

雨は次第に緩やかになった パンツの裏側が濡れている 長靴は持っていないから また今度にでも…

壱貫亨治
2年前
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洪水

一昼夜 止まない雨の 声を聴き ペンを走らせ 方舟を駆る 夢を見て 眠れるならば 幸せか ペン…

壱貫亨治
2年前
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エクスキューズ

随分派手にやり過ぎた お祭り気分でワッショイショイ まあまあ上手にやり抜けた 勢い任せじゃ…

壱貫亨治
2年前
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疼痛と回転

いつだか無視した清廉が 左の肩に張り付いた 古びた匂いを漂わせ ヂクリと触手を植え付ける …

壱貫亨治
2年前
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シナリオライター

よくまあこっそり書くもんだ 二の腕隠した脚本家 人生模様のカーペット 正義の味方に悪代官 …

壱貫亨治
2年前
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そばえ

よく晴れているのに 雨が降り出すもんだから 鳥たちも慌てちゃって 子供の名前を呼んだり お友達のお部屋に隠れたり てんやわんやってこういうことか 僕はまるで他人事だから せめてニッコリ眺めているんだ 雨の雫のひとつひとつが 太陽の光に照らされて まるで数え切れないぐらい 透明な糸の一本一本になって 何も映したくないような速度で 次々に現れては消えて 瞬く間に消えたら現れて きれいだなって思うんだ 本当にきれいだなって 別にめでたいこともないけど 今ここにいるんだってこと

びっちゃんこ

傘をさしてもびっちゃんこ 雨音耳元ぱっちゃんこ 長靴履いてもびっちゃんこ 雨粒爪先ぺったん…

壱貫亨治
2年前
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もう昔のこと

祝日になると 祖父は小さな日の丸を 狭い玄関に掲げていた 祖父は僕に 花札や麻雀将棋 箸の持…

壱貫亨治
2年前
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代読

いつも変わらない 呆れるくらい 同じ日々 そう思えるのは いつも一緒に いれるから 甘えたが…

壱貫亨治
2年前
33

ベースボール

山の隙間の原っぱで プレイボールが木霊する 野手は一人でグローブも 持たずに外野を守り抜く…

壱貫亨治
2年前
32

うんてい

校長先生朝礼台 コンコン風吹きゃ砂ぼこり 後ろでコゲラが木を突つき ペラペラ漫画の教科書に …

壱貫亨治
2年前
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間違いがないなんて

間違いがないなんて よっぽどバカにでもならなけりゃ 堂々と言えたもんじゃない 収拾の付かな…

壱貫亨治
2年前
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メガネっ子

あいつはかわいいメガネっ子 子供の頃からメガネっ子 メガネを気にするメガネっ子 近視で乱視のメガネっ子 寝る時くらいはメガネっ子 きっと外してメガネっ子 湯気で曇ってメガネっ子 雨でびしょ濡れメガネっ子 黙って拭いてるメガネっ子 とっくに会わないメガネっ子 おいらも今頃メガネっ子 少しは気持ちもわかりっこ