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ヤマブドウ

くるりとツルを絡ませて
お日様目指して顔を出す

一人じゃ立てずに寄り掛かる
ブナやらケヤキの肩越しに

ついつい乗っかり過ぎるから
苦しくなったら言ってくれ

腹を空かした熊にでも
いつでもくれる腹積もり

やわりとその実をたゆたえて
今宵は見惚れるお月様

遠く都会へさざなみを
あいつに届けてやってくれ

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール