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【算数指導/支援】完全攻略マップ

今日で様々あった今週が終わる・・・

たくさんの人の支えや温かさのおかげで、
来週から通常運転に切り替えることができそうです!


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


九九がなかなか覚えられない。
暗算ができない。
計算手順を忘れてしまう。

そのような学習の入力に凸凹がある子どもは、
学校のクラスの中に1~3割程度はいます。

その子どもがLDと診断されるレベルであっても。
そうではなくても。

そんな子どもたちに有効な指導/支援方法

それを、元教師であり、
日本LD協会にも所属する筆者が、
全体像をまとめました。

算数の指導/支援に困った時、
辞典的な扱いで、
この記事を参考にしてもらえればと思います。



算数LD(ディスカリキュア)の定義

LDの中でも、特に算数に関して、
入力・表出の問題を抱える症状を、
ディスカリキュアと言ったりします。

ディスカリキュアが抱える困難は、
主に2種類。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

■ 数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ

■ 数学的推論の困難さ

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

簡単に言えば、計算と文章題です。

ディスカリキュアは、
図形問題は含まないというところが、
混同しやすいポイントでしょう。


算数を理解するための4つの力

「算数」という学習をを支える4つの力。

それが、

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

■ 数処理メカニズム
■ 序数性・基数性
■ 暗算と筆算
■ 文章題

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

の4つです。

子どもの力を分析する上で、
これらの力の理解が大切になってきます。


数処理メカニズム

「数処理メカニズム」は、
基本的に「一対一対応」のこと。

人間は幼児から成長していく過程で、
具体物を「1、2」と数えることを覚えます。

そして、
その数字は、「1つ、2つ」という、
数詞に変換できるようになっていく。

就学後の1年生からは、

「カエルが5匹いる→5つのブロックを置く」

という、
具体物を半具体物に変換する過程を経て、
数字に変換する工程を踏むようになっているのです。


序数性・基数性

「序数性・基数性」は数の概念を表します。

簡単に言えば「順番」「量感」

この両者が分からなければ、
順序が混乱したり、
答えのおよその見当をつけたりすることに
困難を覚えたりすることは明白です。

他にも、以下のような概念があります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【順序無関連】
モノの集合は左右どちらから数えても全体数の変化はない原理

【抽象性】
数えるものがりんごやみかんなど異なるものでも関係がないという原理

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


暗算と筆算

暗算は、1年生からの
数に対する理解が積み上がっていく中で、
できるようになっていく能力です。

先に述べた「数処理メカニズム」や、
「序数性・基数性」といった数概念に
凸凹を抱えている。

そうなると、
意味理解ができない学習が
積み重なります。

その結果、
暗算に困難を抱えるという状態が生まれる。

また、筆算は、

「どこに何を書けばよいのかが分からない」
「たてる、かけるの次は何かが分からない」

といった、
空間認知、計算の手順の問題もある。

加えて、ワーキングメモリの問題。

記憶を保持できる情報量、
長期記憶から必要な情報を引き出す速度、

などなどの問題です。


文章題

文章題は、
「語彙理解」の問題が、
大きく関わってきます。

キーワードから推測する力。

文章を読んでイメージする力。

その凹みです。

ディスカリキュアは、
発達性読み書き障害とも併発する場合が多い。

よって、自然と
文章題につまずきを抱える場合が多くなります。


その他の「算数」に関連する能力

ここは、さらっと。

数を数える/唱える力の上に、
紹介した4つの力が乗っかる。

その上に、以下のような
認知や知的能力が加わるのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

答えを導き出すプロセスの全体像を設計
・集中を維持する力
・視覚/聴覚/身体感覚優位
・同時処理/継次処理
・長期記憶/情報検索
・語彙
・視空間認知能力

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

認知能力については、
以下の記事に幾つか記載してあります。


算数LDに効果的な指導/支援方法

ここから紹介するのは、
様々な指導・支援方法です。


音読/指示

音読や指示は、
根幹となる支援パーツ。

ここを抜かしては、
支援の効果は半減します。

LDの子どもには、
長い解説はNG。

算数LDの子どもたちは、
何が重要な情報で
何が優先順位が高くない情報なのかが、
選択しずらい
からです。

だから、
できるだけ言葉を削って
重要な情報しか話さない
のがベターです。

もちろん、
教科書に書いてある文章題などは
教師が範読をする。

そもそも文章を読みづらく、
それに多大なエネルギーを使い、
内容が全く入らない場合があるからです。

とにかく、短く、シンプルに、です。


アルゴリズム

アルゴリズムは、
計算手順を唱えさせること。

一言一句、
毎回違わない計算方法を
音声によって入力することで、
LDの子どもにも情報が入りやすくなります。

詳しい方法は、
以下の記事にまとめてあります。


ノート指導・支援

ノートの指導・支援も非常に大切。

ポイントを押さえたノート指導をすれば、
平均点が10点は上がると言われているほど。

LDの子どもは、
何をどこに書くのかという
視空間認知能力に凹みを抱えている場合がある。

だから支援します。

具体的には、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・1マス1数字
・問題同士の間は2マス空ける
・直線は全て定規で引く

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

など。

毎回直線を定規で引かせることで、
ワンクッション置いて
不注意や衝動性をカバーできます。

また、LDの子どもの中には、
板書をノートに写すことに
困難を抱える子どもがいます。

問題を写すことに
エネルギーを使ってしまい、
解くときには
エネルギーが残っていない。

その場合は、
あらかじめノートに問題をかいておき、
本人には解くことに集中してもらう
ことも
重要な支援の一つとなります。


補助計算

「補助計算」も非常に重要な支援。

これは主に、
ワーキングメモリの負荷を軽くする支援です。

「どこまで計算をしたか」
「繰り上がりの数は何だったか」

といった情報をノートに書き記し、
忘れてしまっても
見返すことができるようにしていくのです。

詳しくは、
以下の記事をご覧ください。

わり算筆算の補助計算、
アルゴリズムも以下に載せてあります。

わり算筆算は、
超重要単元の学習なので、
また記事にしますね。


道具を活用する

道具を活用することも、
超重要事項です。

そもそも、
九九を覚えていない子どもにとって、
かけ算筆算やわり算、
わり算筆算を解くことは大変難しい。

その場合は、
九九を覚えることに
多大なエネルギーを使わせません。

九九表や、
繰り上がり・繰り下がり表を活用し、
消費エネルギーを節約
させるのです。

記憶のメモリが少ないのであれば、
外付けのハードディスクを使えばよい。

テスト中であっても、
合理的配慮として
使用することが認められています。

他にも、

「大きな数」の単元は「位ものさし」
単位を習う単元のときは「単位ものさし」

などを使う支援も有効です。

20玉そろばん、
100玉そろばんを使った支援もおススメ。

このそろばんの良いところは、
手先が不器用な子どもでも操作がしやすく、
「量感」を養うことができる
部分です。

細かい指導方法などは、
以下の記事をご覧ください。


文章題の指導

文章題の支援は、
以下のような方法が効果的です。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

■ イメージを持たせる
■ キーワードで覚える
■ 解き方をパターン化する

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

イラストを用いて、
聞かれていることのイメージを支援。
(上記掲載画像参照)

フォーマットを与えて、
一文ごとに文章を読解する方法もあり。

キーワードを教えこむ方法も、
シンプルですが有効です。

高学年から頻出の
難解な単元の文章題は、
パターン化した方が分かりやすい場合が多い。

暗記に近い方法で覚えさせていった方が、
最終的に成功体験を得て
力を付けていく
場合が多いこともあります。

文章題支援について、
さらに詳しく知りたい方は
以下の記事をご覧ください。


フラッシュカード

「1km=1000m」のような、
暗記するしかない学習内容もあります。

その場合は、
フラッシュカードを用いる方法が
負荷が少ない

1日2~3分でいいので、
パッ、パッとカードを見せて覚えさせていく。

最初は答えが書いてあるカード、
覚えてきたら答えが隠してあるカード、
徐々に負荷を与えていく工夫は必要です。


まとめ

「なぜ、この子はいつもこの段階でつまずくのだろう?」

「なぜ、周囲と比べて計算するスピードに差が出るのだろう?」

そんな、
疑問を持ちながら観察を続けていくと、
子どもが欲している支援が見えてくるようになります。

LDの子どもへの支援はオーダーメイド。

だからこそ、
身近な大人が、
道を示し、
彼ら彼女らの可能性を広げる必要があります。

LDと言わず、算数が苦手な子どもも、
全てそう。

その子に合った、
適切な指導/支援を見つけていけば、
必ず向上していきます。

これからも、
支援方法について様々発信していく予定ですので、困っている状況があれば、教えてもらえればと思います。

この算数LDサイトマップは、
まだ途上の状態ですので、
随時記事をリンクさせ
グレードアップさせていくつもりです。


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今週は、
週始めまで色々ありましたので、
来週から、
1週間のラインナップをまた発表していきます。

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