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飲食店におけるトイレの重要性

今日はお店のトイレについて私の考えを書いてみようと思う。

「お店に行ったら必ずトイレを見ておくように」
これは飲食業界に入った頃、先輩やお客さま、また両親から言われた言葉で、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
説明は不要だと思いますが、トイレの清潔さでお店の印象が変わったり、店主の意識やセンスを感じることが出来ると思います。
私も独立開業するまでは外食の際には必ずトイレを見るようにしていました。誤解があるといけないので伝えておくと、トイレでそのお店を評価しているのではなく、たくさんのトイレを「意識して」見ることで普段の仕事や将来お店をやる時のヒントを見つけられたらと思っていたからです。
レストランやカフェ、バーに居酒屋…と、業態によってトイレの機能が変わることは無く、トイレはトイレだけど、トイレ内の装飾やハンドソープをはじめとするアメニティからそのお店のトイレに対する意識を感じ取れるように思います。掃除用具が置いてあったり、トイレチェックシートがあったりと、トイレには様々な情報が潜んでいます。
私が個人的に良いなと思うトイレは先ずトイレの存在が消えていること。自分の店を例えに使うことを許してもらいたいのですが、渋谷も浅草も一見トイレの場所が分からないようになっています。大きなお店では必然とトイレの場所を確認しなければいけませんが、小さなお店でも「トイレどこですか?」と聞かなければいけない店舗設計は優秀だなと思います。

設計士お気に入りのドアノブ

浅草のニシヤも渋谷時と同じ設計士さんにお願いをし、全幅の信頼を置いているのですが、初回に上がってきた図面レイアウトで唯一修正をお願いした箇所があります。それはトイレの入口の向きで、入口が今とは反対側にあり客席の方を向いていました。長いカウンターで両サイドのお客さまが使いやすく、おそらく設計上綺麗に収まるのだと思います。ですがそれだと出入りする際トイレの中が見えてしまったり、他のお客さまと目が合ってしまいます。入口を奥側にすることでそのような心配がなくなります。また営業中にトイレチェックをする際の動線を考えると、奥側に入口がある方がスムーズに行えると思ったことも変更をお願いした理由のひとつです。

ペーパータオルは埋め込み式

飲食店、トイレチェックのルールは様々あると思いますが、渋谷の時は従業員がいたので基本一人使用したら毎回綺麗にするよう心がけていました。やり過ぎだろと思われるかもしれませんが、トイレが綺麗に越したことはありません。それにトイレを常に綺麗にしておくと、お客さまも綺麗に使用してくれます。逆に綺麗さを保てないと、不思議と雑に使用されてしまいます。たまに「座ってしてください」とお願いの紙が貼られているのを見ることがありますが、トイレは汚れるものだし、男は立ってしたいですよね(笑)
トイレチェックにかける時間は30秒までと決めていて、トイレの隠語は「パリ」でした。ちなみに休憩は「ミラノ」です。おしゃれでしょ。

織り方にも美意識を

次に良いなと思うのは、店内とトイレの内装がリンクしていること。トイレに入った途端「お家感」がするトイレではなく、どこかセンスを感じ、きちんと内装してあるトイレが個人的には好みです。ニシヤでは床のモザイクタイルの色を反転させて表と裏を表現し、狭さを感じさせないように壁一面を鏡にしています。 余談になりますが、便器はアメリカのKOHLER社のものにしたかったのですが、コロナの関係で入手できず…厨房機器を選ぶようにトイレも真剣に探し、内装もとことん考え抜きました。

少ない面積でも床にこだわる

トイレについて何となく書き始めたけど、結構な文字数になってびっくり。まだまだ書けるけど、この辺でやめておきます。

将来自分のお店を持ちたいと思っている方は「意識して」トイレを見てみてください。きっとお店づくりのヒントが見つかると思います。
お店作りも、作った後もトイレのことは後回しにしてしまいがちだけど、トイレはお店の品格を上げる重要なエッセンスだと思います。

イラストレーター遠山晃司氏描いていただいた宝物

それでは、また次回に。

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