藤原

つなげる力を読んで

藤原和博 「つなげる力」

日本教育に関心を持っている人には必見の1冊かもしれない。

リクルート出身の藤原さんが杉並区立の中学校で校長になり
5年間で地域を巻き込んだ学校改革がまとめられた本になっている。

学校の制度や、教員を変えるだけではなく、
地域・民間企業を巻き込んでいく。

学校だけではなく、塾に行くのが当たり前。
情報処理力を高めるための授業。
そんな日本教育の課題を解決できるノウハウがこの本には多くあった。

「つなげる力」で学びになったポイントが4つある。

①学校だけでなく地域社会を巻き込んでいる

教員は授業作成、担任、部活動の顧問など本当に業務がたくさんある。
そのため新しい取り組みをやろうとしても教員は手が回らないことが多い。
だから、藤原さんは学校の枠に収まらず地域を巻き込んで学校改革を行おうとした。
例えば、地元の町内会の人が校庭や花の整備を行う。
他にも地域の大学生が子供達に補講をしてあげる。
これの何がすごいかというとwin-winになっていることにある。
退職して時間を持て余している町内会の人に社会貢献の機会を与える、
教員志望の大学生に子供と接する時間を作っているからである。

②成績下位者・成績上位者両方に照準を合わせている

基本的に学校は成績の下位に合わせることが多い。
授業のスピードを成績優秀者に合わせてしまうと
授業についていけない人が多くなってしまう。
だから義務教育では成績上位層よりも成績下位層に合わせてしまうのは仕方ないとは思う。
だが和田中では全ての生徒に平等に扱っている。
上位層に対してはサピックスと連携して進学校志望の人向けに土曜日に授業を行い、そうでない人には授業で遅れた部分を質問できる時間を土曜日に作っている。

社会の仕組みはうまくいってない人に合わせる部分が多いが双方に焦点を合わせる考えが大事だと気づかされた。

③情報処理力から情報編集力へ

PISAというOECDに加入している国の学生を対象に行っている調査がある。
調査内容を簡単に説明すると持っている知識を活用できているかどうかである。
正解は1つではなく自分で正解を考える問題構成となっている。
日本ではPISAの結果がOECDの中でも下位に位置する。
日本の問題は選択式の問題、もしくは答えが文章中に載っているため
自分で考える必要はなく提示された情報から選択すれば正解できる問題だからだ。
だが、それでは現在のように複雑な社会となっている世のなかで生きていくことは難しい。
例えば、就職1つとっても正解はない。だが、日本の教育では自分で考える内容ではないため大手企業に就職するのが正解だろうと考える人が多くなっている。

そこで藤原さんは「正解主義」から「修正主義」に考えを変えるために
「よのなか科」授業を開催する。
「よのなか科」授業では答えのない問いを考える。
例えば、自転車放置問題はどうすれば解決できるのか子供達に考えさせる。
その後、ゲストティーチャーとして議員を呼び、子供達にプレゼンさせる。
そうすることで答えのない問いでも答えを導き出せる力を身につけることができるのである。

④つなげる力

上記から見てもわかるように藤原さんは人と人をつなげることを意識している。
地域、サピックス、議員と様々な人や組織を学校とつなげている。
そうすることで学びが最大化されるし、新たな人間関係も生まれる。
そこから生まれる作用は想像を超えるものとなる。
1人で何か生み出すことはできないし、生きていくことはできない。
だからこそ人と人をつなげることが大切なのである。



本を読むと新しいアイデアが生まれる。
上級生の生徒が下級生に補講してあげることはインドの学校でもやりたいし、よのなか科授業も行いたい。
他にもNGO同士をつなげて共同する機会を作りたい。
だが、NGO同士の協力はインドでは行われていない。
多くのNGOは寄付で成り立っているため、寄付の取り合いになっている部分があるからだ。

つなげることは大きなインパクトを起こせると思うので
実践に移していきたい。