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読書日記・2022年の振り返り【漫画編】

2022年に読んだ本の振り返り。
面白かった漫画・印象に残った漫画をざーっと挙げていきます。
こちらも小説編と同様、怪奇幻想系・ホラー系の話が多いですよ。

『ミミの怪談 完全版』(伊藤潤二・木原浩勝・中山市朗/朝日新聞出版)
木原浩勝・中山市朗両氏による実話怪談『新耳袋』を原作に、伊藤潤二が漫画化。
この取り合わせだけでご飯十杯くらいいけますね。
外れのない怖さ・面白さでした。

『青野くんに触りたいから死にたい』1~9巻(椎名うみ/講談社)

死んでしまった彼氏と、それが見えてしまう彼女の明るくてちょっと哀しいラブコメ。
……と思いきや、巻を重ねるごとにどんどん怖くなっていく。
可愛い絵柄なのに、ぞわっとする描写が秀逸です。
民族学的要素も入ってきて、かなり本格的なホラー。
最新刊10巻が年明けに出るので、すごく楽しみです。

こんな可愛い絵なのに怖いよ

『ルーヴルの猫 オールカラー豪華版 上・下』(松本大洋/小学館)
あなた猫が好きでしょう、とお知り合いからプレゼントしていただいた本。
ルーヴル美術館の屋根裏に何匹もの猫が住み着いている、という設定からして魅力的。
さらに、絵の中に出入りできる「絵入り」という能力を持つ猫がいて、かつて絵の中に消えてしまった少女もおり……という幻想的なお話。
物語がすごく好みなだけでなく、絵もとても綺麗でした。
彩色はフランスのイザベル・メルレ氏によるものだそうです。

ルーヴルの猫

『みなそこにて』1・2巻(冬虫カイコ/双葉社)
冬虫カイコさんは最近好きになった漫画家さん。
少女同士の感情の機微を、怪奇幻想風味を交えて描いていて、すごく好みなのです。
(怪奇幻想風味のない、リアリティ路線の作品もあります)
「みなそこにて」は田舎の閉塞的な町が舞台。
町の湖には人魚が住み着いていて、年を取らず心も幼いまま、人間たちと関わろうとするが、ほとんどの住人は彼女のことを見て見ぬふりをしている。
一部の少女たちだけが、人魚と関わりを持とうとするが……。
住人たちの目の色が普通とは違っている、人魚はなぜここに住み着いているのか?など、数々の謎がちりばめられていて、この先が楽しみです。

みなそこにて 人魚×少女

『フォロワーさんの本当にあった怖い話』2巻(しろやぎ秋吾/双葉社)
Twitterで読んでいる漫画なのですが、紙の本でも欲しくて買ってしまう。
タイトル通り、一般の人から募集した怖い話を漫画化したもの。
シンプルで可愛い絵柄だけど、さらっと怖いものが登場してきて、緩急の付け方が抜群です。

『百万畳ラビリンス 上・下』(たかみち/少年画報社)
こちらもTwitterで知った漫画で、奇妙な世界さん(@kimyounasekai)が「迷宮テーマの漫画」と紹介されていました。
読んでみたら、大変面白い。
延々と続く畳の部屋の迷宮、本当に楽しそうで。
自分もこんなところで冒険してみたくなってしまう。
賛否両論がありそうなラストでしたが、私はこれはアリだなあと思った。
元の日常に戻ることだけが必ずしも人間の生きている目的ではない、と感じた次第。

百万畳ラビリンス

『綺譚花物語』作画:星期一回収日、原作:楊双子、翻訳:黒木夏兒/サウザンブックス)
これもTwitterで知った漫画。Twitterは偉大ですね(笑)、できたらなくならずに続いてほしい。
海外漫画のブックカフェ・書肆喫茶moriさん(@syoshikissamori)が紹介しておられて、「これは絶対自分好みの漫……!」とすぐにお店に行って買いました。
期待通り、外れなし。
日本統治時代の台湾を舞台に、少女たちの恋愛や交情を、冥婚などのオカルト要素をまじえて描いた短編集。
切ない話が多いのですが、ラスト1話は現代のお話で、希望が持てる終わり方でとても良かった。

綺譚花物語

『緑の歌――収集群風――』(高研/KADOKAWA)
こちらも書肆喫茶moriさんにて購入。
台湾のイラストレーター・漫画家の高研さん、村上春樹のエッセイ『猫を棄てる』の表紙で私は知りました。
こちらの漫画はご本人自身の経験なども入っているのかな?
ザ・青春!という感じの、甘酸っぱく切ない物語。
絵がとても繊細で可愛らしく、お話によく合っています。

緑の歌 帯文が豪華ですね

『百鬼夜行抄』30巻(今市子/朝日新聞出版)
もうかなり長いこと読み続けているシリーズの最新刊。
妖魔と通じ合える力を持つ主人公・律を中心としたあやかしの物語。
先日、滋賀県の三井寺にて原画展があり、拝見してきました。
カラー原稿、大変美しかった……。

百鬼夜行抄 原画はもっと綺麗なんですよ

『百億の昼と千億の夜 完全版』(萩尾望都・作画、光瀬龍・原作/河出書房新社)
SF漫画の古典的名作。新しく大判で完全版が出る、ということで予約して買いました。
家に元々あったのは文庫サイズで傷みも激しかったので、大きくて綺麗な本で読めて、あらためて面白かった。
阿修羅王が格好良くて可愛くて大好きです。

完全版なので表紙も素敵

『ダンジョン飯』12巻(九井諒子/KADOKAWA)
いつも楽しみに読んでいる漫画、最新刊。
これも最初のうちは軽い感じで読んでいたのに、どんどん深い物語になっていった。
人間とエルフの寿命の違いなど、人間と犬や猫の寿命の違いと重ね合わせて考えたりして、切なくなった。
一緒に生きていきたいのに、ずっと一緒にはいられないのだよね……。
お話がいよいよ佳境に入ってきました。
どんな風に決着がつくのか、次の巻が待ち遠しい。

『宝石の国』12巻(市川春子/講談社)
こちらも楽しみにいつも読んでいるのですが……
巻を重ねるごとに、心がつらくなっていく……(けれど読み続けてしまう……)。
人様にオススメしたいけれど、それなりの覚悟が必要になるのでなかなか気軽にオススメできない漫画NO.1です(笑)。
世界の終わりを扱った創作はいろいろあるけれど、これもまた、あまりにも絶望的で、しかし恐ろしく美しい終末を描いている。

宝石の国 カード付きでした

『作りたい女と食べたい女』3巻(ゆざきさかおみ/KADOKAWA)
ご飯を作ること・食べることを通して、ちょっとずつ距離を縮めていく女性同士の恋愛物語。
今年ドラマ化されました、大変めでたい。

つくたべ③ どのご飯もすごくおいしそう

『HUNTER×HUNTER』37巻(冨樫義博/集英社)
あまりに長く待たされ過ぎて、きっともう新刊は出ないんだろう……とあきらめていた最新刊!
嬉しすぎたのと、時間が空き過ぎていて話を忘れているのとで、数巻さかのぼって読み始めたら止まらなくなり、めっちゃ夜更かししてしまいました。
同様の体験をなさった方も多いのでは。

『銀河鉄道の夜・四次稿編』1・2巻(ますむらひろし:作画、宮沢賢治:原作/風呂猫)
宮沢賢治の名作を、猫を主人公に漫画化。
新聞の日曜版で連載しているのを読んでいて、まとまった形で手元に置きたくなり、単行本を購入。
細密な描き込みと青を基調とした色合いが大変美しい。
「銀河鉄道の夜」はもちろん読んだことがあるけれど、ここまで美しい世界だったのか、とビジュアル化してもらって初めて気づけた気がします。

銀河鉄道の夜 猫の帽子のかわいらしさよ

漫画編、以上になります。
次はノンフィクション編!お楽しみに~。
(了)








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