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#付き添い入院 あって良かったもの/保護者を支援する団体をご紹介します!

こんにちは。大阪社会部の禹誠美う そんみです。

noteではこれまで2回にわたって、幼い子どもが入院する際に保護者が病室に泊まり込んで世話をする「付き添い入院」に関する記事を投稿しました。

食事はコンビニ弁当簡易ベッドでの細切れの仮眠シャワーも浴びられないなど、24時間付きっきりで看病する保護者の過酷な実態についてご紹介させていただきました。

私自身、最後に付き添い入院をしたのは2年半も前。
当時は「二度と経験したくない」と思ったほどつらかったはずなのに、今まさに付き添い中の方々の状況を見聞きしていると、その大変さを忘れてしまったな、と実感しています。

これまで記事を書いてきて、付き添い入院は経験したことがあるかどうかで、関心度が大きく変わるものなんだなと思いました。

経験者にしか分からない過酷さを少しでも多くの人に知ってもらえたら…。付き添い環境の改善のために何かできないか…。そんな思いで発信を続けています。

付き添い入院に関する過去のnote記事はこちら☟

今回のnoteでは、私自身が付き添い入院をした際に「あって良かった」と感じたものや、取材を通して知った、付き添う保護者を支援する団体や施設を共有させていただきます。

付き添い経験者の方にはおなじみの情報かもしれませんが、これから経験されるかもしれない方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

また、2022年12月の記事に設けた「体験談募集」のフォームを通じて、計30人の方からご自身のご経験をお寄せいただきました。
本当にありがとうございました。

前回の投稿以降に寄せていただいた方のうち、一部ではありますが、6人の方の声も紹介させていただきます。


■付き添い入院・便利グッズ5選

乳幼児は風邪をこじらせるだけで入院、なんてこともめずらしくありません。急な入院で慌てた経験をされた方も多いのではないかと思います。(もれなく私もその一人です。)

2021年に入院した大阪府内の病院の個室。一日の大半をここで過ごしました。

付き添い入院を経験して初めて知ったのですが、病室ってほとんど何もないんですよね。(さすがに個室のトイレにトイレットペーパーは備え付けられていましたが…)付き添い人の箸一膳、ティッシュ一箱から自分で用意しなければなりません。

2020年に入院した大阪府内の病院の大部屋。
収納や棚がほとんどなく、ミルクセットを窓際に。
見かねた看護師さんがワゴンラックを持ってきてくれました。

そんな環境下で24時間“暮らすように”過ごさなければならないのが付き添い入院です。
衣類やタオルなどを詰め込んだ複数のボストンバッグに加え、子どものオムツ、ミルクセットなど、大量の荷物を何とか抱えて病院に向かったことを思い出します。

以下では、着替えや保険証、母子手帳など、最低限持参すべきもの以外であって良かったものをご紹介します。

1. S字フック

これは必需品と言っても過言ではありません!
収納が少なく、物が置けないベッド周りでとても役に立ちました。
子どものベッドの柵に引っかけてエコバッグやビニール袋をぶら下げ、その中に脱いだ服を入れたり、子どものおもちゃを入れたり。
100均で手に入ります。

2. 延長コード

2か所の病院で付き添いを経験しましたが、病室で使えるコンセントはいずれもベッドの頭付近にある1カ所だけでした。
スマホ付属の充電ケーブルだと、保護者用の簡易ベッドや病室の椅子からは届かないなんてことも。延長コードがあれば解決します。

3. マグカップ

院内のコンビニでペットボトルの飲み物を買っても、すぐに飲みきれないので、マグカップがあると便利でした。お気に入りのコーヒーや紅茶などを持ち込めば、ほっと一息つくこともできます。
私は山登りの時に使っていたチタン製のマグカップを家から持参しました。軽くて、落としても割れないので安心です。

4. サンダルかスリッパ

院内は基本的に土足のため、一日中靴を履いていると疲れてしまいます。
子どもと一緒にベッドの上で過ごす時間もあれば、検査のために院内を歩き回ったり、買い出しに行ったりと靴を脱ぎ履きする頻度が意外と多いです。
ストラップ付きのサンダルなど、脱げにくく、滑りにくいものが良いかもしれません。

5. タブレット端末

入院中は大人もですが、子どももストレスが溜まります。普段使い慣れたおもちゃや絵本を持ち込んでも間が持たないんですよね…。
動画を見せすぎるのは良くないなぁと思いつつ、YouTubeなどで好きな動画を見せて長い一日を乗り切っていました。

病院のWi-Fi環境によっては、あらかじめ動画をダウンロードしておくか、ポケットWi-Fiを持ち込む必要があります。
大部屋ではイヤホンもあった方が良いですね。

■付き添う保護者を支援する団体・施設

寝食もままならない過酷な付き添い入院ですが、保護者を支援する団体や施設があります。

1. NPO法人キープ・ママ・スマイリング

付き添い入院する保護者や家族を支援しているNPO法人です。
お子さんの入院期間が10日以上で、付き添い入院している、あるいは病院近くの宿泊施設に泊まり込んで病室に通っている方向けに、食品や生活・衛生用品を無料で配布されています。

付き添い経験者の知見を集めた口コミサイト「つきそい応援団」も運営しています。

また、このNPO法人は約3600人の付き添い経験者を対象とした大規模な実態調査も行い、付き添い環境の改善を求める要望書を国に提出しました。
これを受けて、こども家庭庁は2023年度中に付き添い入院に関する実態調査を行い、支援策をとりまとめて医療機関などに周知する方針です。

2. 公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン

マクドナルドの店頭に置いてある募金箱でご存じの方も多いかもしれない「ドナルド・マクドナルド・ハウス」。自宅から離れた病院に入院する子どもに付き添う家族のためにつくられた滞在施設です。

病室に泊まり込んで24時間付きっきりで看病する方は利用できませんが、日中の面会時間にお子さんに付き添う方は、その他の時間をハウスで過ごすことができます。

大阪府摂津市にある「ドナルド・マクドナルド・ハウス おおさか健都」の外観。
隣には国立循環器病研究センターがあります。

ハウスには自炊できるキッチンやリビング、ダイニング、ランドリー、ベッドルームなどが備えられていて、コンセプトは「第二のわが家」。費用はいずれの施設も1人1日千円で、建設から運営まですべて寄付や募金で賄われています。

おおさか健都ハウスのキッチンとダイニング

2022年に大阪にあるハウスを取材させていただいたのですが、その時に印象的だったのは、自宅のようにゆったりと快適に過ごせることはもちろん、共用スペースで同じような病気と闘う子を持つ保護者と励まし合ったり、情報交換したりすることができることでした。

マクドナルド・ハウスについて取材した記事はこちら☟

3. 認定NPO法人ファミリーハウス

こちらも東京都内でマクドナルド・ハウスのような施設を展開している団体です。
運営する下記のサイト「JHHHネットワーク」では、全国に点在する滞在施設を検索することができます。

■「体験談募集」に寄せてくださった方の声

寝られない、食べられない、ほっと一息つくこともできない…。
一番大変なのは入院中のわが子だから、と無理をしながらも付き添っている保護者の方の悲痛な叫びが今回も寄せられました。

「わが子にすら優しくできなくなる」

何よりつらいのは寝られないこと。機械の音も小さいと看護師さんに聞こえないから大きい設定なんだろうな。隣のベッドで疲れ果てるまで大声で泣いている子も。色んな人に協力してもらって捻出した付き添いの時間。ただでさえ平常のメンタルではない中で、ストレスのかかる場所で過ごすことは、最たる目的であるわが子にすら優しくすることができなくなる。

(40代女性・4歳の子ども)

「シャワーを浴びに自転車で片道20分」

娘が感染症のため病棟のシャワーや洗濯機を使えず、昼寝した時に看護師さんにお願いして、自転車で片道20分の自宅に帰ってシャワーを浴びていた。4人の大部屋で昼は病室の丸いす、夜は狭いサークルベッドで過ごし、夜泣きしたら抱っこであやしていた。仕事復帰初日の入院だったので、仕事をクビにならないか金銭的な不安もあった。一日中ほぼ会話をすることのない日々、狭い空間に閉じ込められたような気分になり、とても孤独だった。

(30代女性・0歳の子ども)

「病院から追い出されたり、付き添いを求められたり」

重度の心疾患で新生児からの長期入院だった。一番困ったのは、手術などでICUに移動したときは病院から追い出されること。一方で、経過観察が終わり一般病棟に戻ってくると、付き添いが必ず求められる。計画が一切立てられず本当に困った。遠方の病院の場合、近くのホテルなどを確保しなければならず、金銭的にも苦労した。

(40代男性・0歳の子ども)

「ほとんど眠れない9日間」

コロナ禍で付き添いの交代禁止。病棟から出てご飯を買いに行くことも禁止され、午前中に来るお弁当の移動販売で昼、夜、翌朝の分をまとめ買いしていた。母乳のために栄養をとりたかった。3時間おきに搾乳し、栄養剤を作り、飲ませる。ぐずったら抱っこし、やっと眠ってくれたと思ったら看護師さんの巡回などでほとんど眠れない9日間だった。

(30代女性・0歳の子ども)

「ほっとする時間、1分もない」

狭い柵付きベッドで親子で寝てくださいと言われ、布団は硬く、体が痛くなった。大部屋だったので、泣かないようになんとかあやしたが、同室の赤ちゃんの激しい夜泣きなどでほとんど眠れず。後追いの時期だったので、トイレに行くのもダッシュ、ご飯も買いに行けずろくに食べられない。ほっとする時間は1分もなかった。5日間の入院だったが、自分が体調を崩した。

(40代女性・0歳の子ども)

「ひどい時は一日一食」

病院内にコンビニがあるが、ドクターやナースが買うため食品がないことがほとんど。同室の方々も「またなかった」と言って一食抜くのは当たり前、ひどい時は一日一食の時もある。お風呂も子どもが体調不良だと親も入れず、週に一度になることも多々ある。子どもの体ふきなど、当たり前のように自分が行っているが、普通は看護師の仕事だと思う。看護計画には清潔保持に努めると書いてあるが、親が行っているのが現状。

(40代女性・2歳の子ども)

このフォームでは、付き添い入院について求めることも選択式で尋ねました。

最も多かったのは「保護者の食事の提供」で29人。
病棟保育士など子どもの見守り要員の確保」(25人)、「保護者が寝られる環境の整備」「保護者がシャワーを浴びられる環境、時間の確保」(いずれも24人)と続きました。

計30人の方にご回答いただきました。

保護者は誰だって、がんばって闘病するわが子がのためには、自分が無理をしてでもそばにいてあげたい、と思っています。
…とは言っても、さすがに寝られない、食べるものがない、といった最低限の生活すら送ることができない環境では、心身の健康を害してしまいますよね。

前述の通り、こども家庭庁が付き添い入院の実態調査を行っており、調査結果を受けて支援策をとりまとめる予定です。

どうか少しでも過酷な付き添い環境が改善されますように。
さまざまな事情で保護者が付き添えなくても、安心して子どもを入院させられる看護体制が整いますように、と願ってやみません。
今後、国の対応が注目されます。

「体験談募集」フォームについては、今回の記事の公開をもって一度閉鎖させていただきます。
貴重な体験談、どうもありがとうございました。
ご意見・ご感想は引き続きお待ちしています!

禹 誠美(う・そんみ) 2013年に入社し、本社社会部、高松支局を経て大阪社会部。最近キーボードを買い、10年ぶりにピアノを再開しました。寝る前の練習が日課です。

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禹記者が書いた付き添い入院に関する過去の記事はこちら☟

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