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パヴロヴァのレシピ

皆さまこんにちは。郷土菓子研究社のハヤシです。
いつもありがとうございます。

前回は門外不出のカヌレのレシピを公開させていただきました。沢山の方にお読みいただきありがとうございます。
レシピ部分まで見ていただいた方は型の準備など大変かもしれませんが、是非、チャレンジしてみてください!きっと上手くいくはず!

今回も前半はお菓子の概要や自身の体験を含めた情報を、後半はレシピ紹介、という構成でお届けしていきますね。概要はネットで調べれば沢山でてくるので、さらっと。実体験に比重を置いて書いていきますね。
お読みいただくだけで、世界の郷土菓子の知識がもう一段深まるようなnoteを作っていけたらと思っています。

さて、今回ご紹介したいのはパヴロヴァです。前回のカヌレで卵黄を使ったので、次は余った卵白を利用できるお菓子が良いなあと思い、自分も大好きなパヴロヴァに決定しました。


概要

パヴロヴァはオーストラリア、ニュージーランド発祥のメレンゲ菓子。オーストラリアと歴史的に繋がりの深い、イギリス菓子としても知られています。
低温のオーブンでじっくりと焼かれ外はサクッ、中はしっとりとした食感のメレンゲが特徴で、その上に生クリームとフレッシュフルーツやフルーツソースをかけて提供されます。

菓子名はロシアのバレエダンサー、アンナパヴロワさん由来となっています。1926年と1929年、公演でオーストラリアとニュージーランドをツアー訪問した際に、彼女を讃えて作られたのがメレンゲ菓子パヴロヴァと言われています。

こちらが当時のアンナパヴロワさんの映像です。代表作「瀕死の白鳥」という演目だそうです。
こうやって見ると、なるほど、パヴロヴァですね。

このお菓子を提供したのはオーストラリアのエスプラネード・ホテルとされていますが、ニュージーランドのホテル説もあるそうです。どちらの国が初めてパヴロヴァを作ったのかは長年議論の的となっていますが、その結論は未だに出ていません。もはやイギリス説やアメリカ説を唱える人もいるそうです。
たしかに、メレンゲにクリーム、フルーツを乗せるというある意味原始的な作り方ではあるので、同時発生的に生まれそうなものではありますよね。このお菓子の起源を明確にするのは難しそうです。

僕的には、世界的バレリーナ、アンナパヴロワが料理長に「美味しいデザートが食べたいわ」とオーダーし、料理長が試行錯誤した結果、メレンゲを彼女の代表作である白鳥に見立てたデザートを完成させた。というのが美しくて、ロマンがあって良いなと思います。(概要とは)

記録

僕が最初にパヴロヴァに出合ったのはイギリスはロンドンのとあるお菓子屋でした。

夢のようなディスプレイですね

イギリス菓子のひとつにパヴロヴァというものがある、ということは知っていたのですが、二週間のイギリス旅の中、探しに探して、帰国直前でようやく見つけることができました。イギリスではそこまでメジャーでないのか、運が悪かっただけなのか、他に目移りしていたのか。貴重な一皿でした。
ディスプレイを見ても分かる通り、お菓子はどれも煌びやかで凝っている印象。期待に胸を膨らませ いざ実食。
メレンゲのサクッ、の後にじっとりという初めての食感。そして生クリームにはエルダーフラワーシロップで甘味をつけているらしく、香りまで楽しめる。そして、メレンゲの甘味とみずみずしいフルーツの甘酸っぱさが最高の組み合わせです。こんなお菓子があったとは。アンナもきっと震えたはず。
このパヴロヴァが想像以上に美味しく、初めての味に感動してしまいました。

メルボルンで食べたパヴロヴァ

次にパヴロヴァに出合えたのはオーストラリアでした。イギリスに比べるとオーストラリアの方がパヴロヴァの出現率は高めでした。唯一、自分の知っているロンドンの小綺麗なパヴロヴァとは違い、大胆で迫力のあるものが多かったです。この荒々しい感じも好きです。
上の写真はオーストラリアで食べた中で一番美味しかった、メルボルンの Hopetoun Tea Room (ホープトンティールーム)のもの。様々なフルーツの盛り合わせで、特にパッションフルーツの酸味が良いアクセントになっていました。オーストラリアの食べ歩きでは是非お勧めしたいお店です。

Hopetoun Tea Roomも夢のようなディスプレイ
入り口から店内の雰囲気までときめき空間でした

こちらもオーストラリア

こちらはメルボルンから電車でふと訪れたウッドエンドという町で偶然入ったカフェ Cafe Paysanne 。もはやアートとも言える大胆さが良いですね。
メレンゲも美味しいのですが、オーストラリアは生クリームの美味しさが格別なんですよね。お菓子がシンプルなだけあって、生クリームの美味しさも際立ちます。乳製品やフレッシュなフルーツやナッツは土地の味が出るんです。
ちなみに、もともとこの町に来たのも Bourkies Bake House というお菓子屋の名物バニラスライスを食べるため。だったのですが、こちらは個人的にはヒットせず・・・。でもお店の人に聞いてみると1日500人前も作るほど人気ぶりだそう。

こちらがバニラスライス
カスタードラバーには刺さるのでしょう
パイ生地でカスタードをサンドしたお菓子でした

ところ変わってこちらはバルト三国(リトアニア・エストニア・ラトビア)。ここで出合ったパヴロヴァはどれも小ぶりで大人しい。お国柄が出ますね。
パヴロヴァというとニュージーランドやオーストラリア発祥、イギリス菓子、という話はよく聞くのですが、実はバルト三国が一番食べられていました(ハヤシ調べ)。それぞれ二週間くらいの滞在でしたが、いつの日もパヴロヴァの存在に目を光らせていたので、あながち間違っていない気がします。

リトアニアではパヴロヴォと若干訛ったりしてました

老舗・名店マップ

オーストラリアとニュージーランドの有名店をリストアップしてみました。
意外と見つける機会の少なかったパヴロヴァでしたので、お求めの際は是非ご活用ください。当時、なかなか見つけられなかったのもメレンゲだけ買って家で作ることが多いそうです。とはいえ旅行で行ってるんだからお店で頂きたいものですよね。
1つ目のリンクは上記でもオススメしたメルボルンのティールーム。2つ目のリンクはシドニーのオペラハウスにあるレストランです。こちらは食べることができなかったのですが、美しいパヴロヴァを提供している模様です。


ここからは郷土菓子研究社のパヴロヴァのレシピをご紹介しますね。
上の写真たちを見ていただいた通り、もりっと焼いて、ぐしゃっと盛り付けて、わしゃっと食べれるので、嫌なことがあった時とかに作るのはオススメかもしれません。食べ終わる頃にはお腹も心も爽やかです。

作ってみたい人にとって、できる限り丁寧に、失敗しにくいようにご説明したつもりです。見てみるだけでも、こんな風に作っているのか、と面白く見れるかと思います。
この後ご紹介しますが、レシピの分からない点を質問できる場所も作ってみましたので、そちらもご利用していただきたいなと思います。

ワンコインでお気軽に入れる設定にしておりますが、無断転載、複製等はご遠慮くださいね。
では、本編に入ります。郷土菓子研究社のラボへ・・・

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