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美術館に行こう

結婚して子どもが生まれ、美術館にパタリと行かなくなった。美術館に行って何を見ればよいのか分からぬまま、初めて行ったのが30歳の春だった

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近代絵画というものに触れたくて京都岡崎にある近代美術館に向かった。しかし開催されていたのは「河井寛次郎」という当時は知らない陶芸展だった。陶芸か…と、がっかりしながらチケットを買って入ったことを覚えている。

しかし、その寛次郎の陶芸展が非常に面白かった。初期の作品から晩期にかけて、どのように変化させていったかがよく分かる展示となっていた。初期は中国風の華美な装飾であった陶芸が、徐々に民藝という「用即美」を見出し追求してゆくというある種の「物語」であった。兵庫県立美術館のゴッホ展もとても良く覚えていて、ゴッホというひとりの人間の苦しみや喜びが初期から晩期までの作品を通じてよく分かる展示だった、まさしく「物語」だった。

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色々な作品をぼーっと観るのは未だに苦手だ。本来の美術鑑賞はそうあるべきなのだろうが、ああ美しいと思えず、どうしても美術鑑賞に、「物語」や即時的な学びや納得を求めてしまう。よくない美術鑑賞だと自負はしている。しかし、そんな展示は分かりやすく面白い。

何にせよ「大人」になったら美術館に行けなくなることもあるから、若いうちにたくさん行っておくべきだ。

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