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No.50 - ある大手企業海外支社・社長の悲痛な叫び ~「市場価値」にまつわる裏話~


先日、友人と何人かで、お酒を飲んでいました。
渋谷の、雑多な安い居酒屋です。

友人の一人は、50歳の某日系大手企業・海外現地法人の社長です。要するに、いわゆる大手企業の偉い人です。

私にとっては、(15歳上ですが)10年以上前からの古い友人なので、別に「偉い人」という感じはまったくしないのですが、彼の会社の新入社員などから見たら、背筋がピンと伸びるような「偉い人」だと思うと、なかなか面白いです。

そのとき、その社長が酔っぱらって口にした一言が、とても印象的で忘れられなかったので、ちょっと紹介したいと思います。

最初に断っておくと、「美談」とか「深イイ話」ではないです。

むしろ結構、残酷な話です。


海外現地法人・社長の「市場価値」とは…


彼の言葉を耳にして、

会社員にとって、「市場価値」って一体何なんだろうな?

という、なんだかモヤモヤとした感情が浮かんできたのです。


その社長、当然、「市場価値」は高いです。大手企業の海外子会社の社長ですから。私よりも、格段に高いです。

こんなに「市場価値」が高い人は、そうそういないはずです。

BtoBの、ある分野で世界シェアトップクラスの機械メーカー。会社の歴史は50年以上。由緒正しい有名企業です。その会社の、海外現地法人社長を過去7年以上、勤めています。

よく考えると、43歳から社長を務めているので、かなりのエリートサラリーマンです。

でも、この人が、言ってたんですよ。
わざわざ「高級店は嫌いだから」と言って自分で選んだ、渋谷の安い居酒屋で、安酒を浴びるように飲んで酔っぱらって、それから、急にこう言ったんです。


「社長って言ってもね、全っっ然、夢ないですよ。
だってさ……

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