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5年後に退職する新卒サラリーマン【第二章】 (8)

第一章 <激動の就活編> は、こちらから


その日の午後、私たち新入社員145名は、また研修センターに集められた。

今日から2カ月間の新入社員研修を経て、6月に「本配属」を迎えることになる。

そう、私たちは新卒総合職の新入社員。まだ自分がどの部署に配属になるのか、誰一人として知らないのである。


「配属ガチャ」は、怖い。


私たち文系の総合職35名は全国転勤があるため、この兵庫県三田市の本社に配属されるのは経理部や人事部、監査部などに所属となる数名だけ。

圧倒的多数の営業職は、全国各地の営業支店に配属、一部の事業部の場合は地方の工場などに配属となるのだ。


それが、東京や大阪なら良いのだが・・・

縁もゆかりも無い地方僻地に飛ばされる可能性も十分あり得るし、本社配属なら、それはそれで兵庫県三田市の田舎に住むことになってしまう。

いやいや、私が大学時代を過ごした埼玉に逆戻りなんてことも・・・

ううむ、考えたくない。



大学の同級生の久保田ちゃんは、大手企業に就職すればコリドー街でモテるとか言ってたけれど・・・


コリドー街まで、4日と16時間かかるらしいぞ。

東京・池袋のメガバンク支店勤務の久保田ちゃんは、今頃モテモテウハウハなのかもしれないが、私のメインフィールドは、銀座コリドー街ではなく三田駅前商店街である。



就活のときはそんなに深く考えてなかったけれど、大企業勤務だと必然的に全国転勤になるから、東京には住めない場合が割と多いんだな・・・

18歳のときに東北の田舎を飛び出して、

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