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「建設的に進める」ための5つのステップ

お久しぶりです。メドレーの加藤です。

現在は社長室でいろいろなことをやっておりますが、その一つとして、行動規範の刷新に微力ながら少しだけ関わっておりました。

メドレーは行動規範を刷新しました。 https://medley.jp/team/culture.html これまでは「凡事徹底」「中央突破」「未来志向」という3つを掲げていましたが、巨大な会社となり、多くの困難な課題を解決できる組織を目...

Posted by Kato Kyosuke on Thursday, August 26, 2021

これまで、メドレーでは「凡事徹底」「中央突破」「未来志向」という3つを掲げていましたが、巨大な会社となり、多くの困難な課題を解決できる組織を目指すため、刷新を行いました。

12個と少なくないですが、その全てがミッション達成に不可欠だと考えています。項目は以下のとおりですが、その説明はリンク先に記載しています。

・凡事徹底
・長期のカスタマー価値を追求
・日々の倹約と大胆な投資の両立
・革新と改善を主導
・全てを明確に
・誰よりも詳しく
・信頼を獲得する
・建設的に進める
・組織水準を高める
・ドキュメントドリブン
・自分をアップデート
・成果を出す

これから先、どれだけこの一つ一つの項目を浸透させていけるか、がこれからの組織力を決める重要な要素になってくると思います。

その先駆けとして、社長が今、一つ一つの項目について社内のコンフルで発信を進めているんですが、それに対して他の役員がリポストする(凡事徹底についての石崎さんの記事は素晴らしかったです、公開したい......)など、いい流れができつつあるなと見ていて思います。

こういう項目の発信は、誰か一人がやり続けるだけでなく、周囲のみんなが巻き込まれるように、自分なりの発信を被せていくことで理解が深まっていくし、浸透しやすくなってくると思います。

そこで私も、今回の社長の発信に合わせて、一つテーマを選んで記事を書いてみようと思いました。当初は社内のコンフルで書こうかなと思っていたんですが、僕の役割の一つは外部への発信にあるとも思ったので、実験的に社外の方も見れるようnoteで書いてみようと思います。

メドレーの行動規範の一つ「建設的に進める」について

建設的に進める
私たちは、それぞれの持ち場のプロとして、相手が誰であっても臆さず、建設的に議論します。たとえ労力を要する場合も積極的に議論に参加します。建設的な議論の末に、方針が定まったら、その実現に向けて全力でコミットします。

特にナンバリングをしているわけではないですが、12個ある行動規範の8個めがこちらになります。メドレーでは議論をすることを推奨する文化があるので、この項目を入れ込むのは自然な流れでした。

本当は社長の社内コンフルをたくさん引用しながら説明したいと思いつつ、社内向けコンテンツなのでそこは割愛するとして、巨大な会社になり、多くの大きな課題を解決できる会社になるために不可欠な要素であることは間違いありません。国内外に拡大する中で多様性を適切な推進力に変換していくためにも、この要素をしっかりとインストールしていく必要があると考えています。

「建設的に進める」ための5つのステップ

行動規範とは、それをただお題目のように設定しておくだけでなく、採用活動における基準であったり、1on1をはじめとした日々のマネジメント、評価の振り返りの際に効果的に活用するなど、人事組織におけるあらゆる活動において実用的に使えるものである必要があります。

この点、「建設的に進める」という項目は、まさに人事組織におけるあらゆる活動において実用的に使えるものだと考えています。正直に白状すると、実は僕はこの項目については課題意識を持っています。体現力も決して高いわけではなく、社長室に移ってからはこの要素について目標設定の一つに入れて半期ごとに振り返りを実施してきた項目の一つでもあります。それもあり、この項目についてはいろいろと自分なりに考えてきたことがあります。

自分なりに、「建設的に進める」を体現するためには、5つのステップがあると考えています。

1.決まったことにコミットする。後出しジャンケンをしない。
2.決まる前は自分なりの意見を持ち議論を行うが、一度決まったらその方針にコミットする。後出しジャンケンをしない。
3.決まる前は自分なりの意見を持ち、建設的な姿勢で積極的に議論を行うが、一度決まったらその方針にコミットする。後出しジャンケンをしない。
4.決まる前は自分なりの意見を持ち、建設的な姿勢で積極的に、適切なファクトと仮説を元に根拠を添えて議論を行うが、一度決まったらこのその方針にコミットする。後出しジャンケンをしない。
5.決まる前は自分なりの意見を持ち、建設的な姿勢で積極的に、適切なファクトと仮説を元に根拠を添えて議論を行うが、一度決まったらこのその方針にコミットする。後出しジャンケンをしない。それと同時に、常に状況の変化を見てよりよい解を探し、前向きに提案する。

それぞれについて説明していきます。

Step1.後出しジャンケンをしない。

まず全ての基礎になるのは、決まったことに対して、後から建設的ではない文句を言ってチームの士気を下げたり、足を引っ張らないということです。

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決めたことがなかなかうまくいかない時、芽が出ない時、人はどうしても批判的になってしまうものです。

「やっぱりうまくいかないと思っていたんだよね」

「実は言ってなかったんだけどおれははじめから違うとは思っていたのよね」

こういうことを言いたくなるものです。恥ずかしながら僕もけっこうこの傾向がある方だと思います。

こういっておけば、うまくいかなかった時に、自分は実はそうじゃない意見を当初から持っており、正しい人間だ、という自尊心を保てるからかなという自己分析をしています。

しかしこれをやってしまうと、本当に組織の士気は下がってしまうし、本人の信頼もどんどん下がっていってしまいます。一丸となりきれないために、コミットメントの度合いも低く、上がるはずの成果も上がらないということになりかねません。役職者であればあるほど、これをやってしまうと負の影響力が大きくなってしまうものです。(頭では分かっているんですが、つい無意識にやってしまうことが多い気がします。)

物事が決まる前に、意見をいう機会すらも与えてもらえなかったのであれば文句を言いたくなるのも仕方ないのかもしれませんが、裏を返せば、意見をいう機会すらも与えてもらえないということは、まだ自分の信頼残高が積み上がっていないということでもあります。

まずは自分の信頼残高を積み上げることに集中しつつ、決まったことにはみんなが一丸となって取り組めるよう行動することが第一の基本になると思います。

Step2.自分なりの意見を持ち、議論を行う。

次のステップは、議論の場にきちんと参加できるような状態を作り、そこで自分の意見を発信することです。物事が決まるのをただただ待ち続け、決まったことにしたがって行動をするという受動的な状態(=Step1)から抜け出し、意思決定の場に参加すること。これがStep2です。

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もちろん、ただ参加するだけでは意味がありません。しっかりと自分なりの意見を持ち、発信すること。そして議論を行うこと。その場で自分なりにできる力を出し尽くすこと。そうすることで、意思決定の前に納得感を持って結論を受け入れられるようにすることができ、結果にもコミットできるという好循環を作り出すことです。

ここで大事なのは、意思決定の前段階で自分にできることは、すべてやり尽くすということです。やり尽くさないまま意思決定を迎えると、その後の結果次第では「後出しジャンケン」の不満を言いやすくなってしまいます。事前の意思決定の議論に参加した分、しこりが残ればそれこそ「後出しジャンケン」が生まれやすくもなってしまう。そうならないよう、きちんと出し尽くすことが大切です。

Step3.建設的な姿勢で、積極的に議論を行う。

次のステップは、主に議論に参加する際の姿勢です。

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「呼ばれた会議に参加して、そこで思ったことを発言する」ということでは、意思決定に参加はしているものの、実質的にはまだまだ受動的な状態を抜け出せていません。そうではなく、どんな人とどんな議論や調整をすることが必要なのか、自分で考えて能動的に働きかけること、そして議論の際は積極的に意見交換を行う姿勢が大切です。

加えて、ただ自分の意見を押し通そうと攻撃的になるのではなく、建設的な姿勢で、最良の意思決定ができるようにするためにはどうすればよいのか、ということを頭の片隅に常に置いておきながら、議論を進める姿勢も大切です。自分の意見に自信を持つことはもちろん大事ですが、目的は相手を説得することではなく、最良の合意形成を行うことです。

その目的を見失わないためには、建設的な姿勢であること、そして受動的ではなく積極的な姿勢であることが大切です。冒頭に、多様性の時代において、ますます「建設的に進める」ことが重要になってくると書きましたが、文化的な背景、宗教観、育ってきた環境、職歴などいろいろな背景の違いを理解して尊重した上で議論に臨むことの重要性も、年々高まっていることを実感します。

Step4.ファクトと仮説を元に明確な根拠を持って、議論を行う。

次のステップは、適切な仮説と根拠を元にロジックを組み立て、それを元に議論を行う、というものです。

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まず自分なりの意見を持つ、ということはとても大事なことですが、最初のうちは根拠の明確な設計ができず、なんとなくの印象であったり、なんとなくこう思う、というようなふわっとした理由しか持てないということが往々にしてあると思います。

それだと、より深く考え抜いた人と議論にならず、一蹴されてしまうことになりかねません。そうなってしまうともったいない。建設的に議論を行うためには、建設的で、積極的で、前向きな気持ちで臨むということだけでなく、適切に選んだファクトと仮説を元に明確な根拠を持って議論に臨む必要があります。そうすることで初めて、ちゃんとした議論というものが生まれ得る。

そして、そこまで調べたり考え抜いたからこそ、議論の果てに出た結論に納得できるようになるし、コミットできるようになる。こういう好循環を作り出すためにも、少なくとも自分の持ち場については誰よりも詳しく、誰よりも掘り下げて考え抜き、ファクトと仮説を持って議論に貢献できるよう積み上げることが大切です。

Step5.常に状況の変化を見て、よりよい解を模索し提案し続ける。

最後のステップは、コミットはするが、盲目的にコミットするのではなく、常に状況の変化をみてよりよい解を模索し、提案し続けるということです。

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メドレーの12個の行動規範の一つに「自分をアップデート」という項目があります。

自分をアップデート
私たちは、好奇心を持ち、変化を楽しみ、常に自分自身をアップデートし続けます。どのような局面においても内省を怠らず、自らの行動やふるまいの改善点を見出します。自らが長期的に社会で活躍するために、健康管理も率先して行います。

建設的な議論の末に、方針が定まったら、その実現に向けて全力でコミットする。これは大切なことなのですが、かといって「環境変化を無視して、盲目的にただそれをやり続ける」ことは違うのです。

後ろ向きな愚痴、後出しジャンケン的な文句ではなく、やってみたけどうまくいかないという状況が見えてきたら、それはなんでだろう??という原因を考え、よりよい方法がないかどうか前向きに模索することが大切です。

不確実性の時代=VUCAの時代(先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態)と言われていますが、それに加え、スタートアップにおいて、環境は急速に変化するものです。本質的な考え方を除き、環境が変われば戦略も戦術もそれに合わせて柔軟に変化していかなければ生き残っていけません。そういう中で、大切なのは思考停止をしないということです。

「あれだけ議論を尽くした末に決めたことなんだから、あとは突き進むだけだ!」と思えることも非常に重要ですし、基本的には組織が一丸となってそうあるべきなのですが、そういうマインドを持ちつつも、常に現状を疑う姿勢が大切です。「現状を疑う」というと、単純な悲観論者を思い浮かべてしまいがちですが、そうではありません。

環境の変化に敏感に反応し、常に自らをアップデートし続けることの重要性を正しく理解し、最適な状態を模索し続け、リーダーシップを発揮してあるべき変化を主導することこそが、建設的であり続ける姿勢の体現であると言えます。「健全な議論を尽くした上で、一度決めたことにコミットしつつも、常に最良を目指す変化を主導すること」が、僕なりに思う「建設的に進める」であると考えています。

あらゆる企業活動の中で活用していこう

「建設的に進める」という行動規範について、僕なりの考え方をまとめました。このステップは、1on1でもそうですし、日々のコミュニケーションや評価のタイミング、採用活動におけるチェックポイントとしても、活用しやすいものなんじゃないかなと思っています。

- 後出しジャンケンをしている人を見つけたら、Step1の指摘をする

- 会議で黙っている人を見つけたら、Step2の指摘をする

- 批判や問題の指摘ばかりで会議をかき乱している人を見つけたら、Step3の指摘をする

- 根拠なく持論を展開している人を見つけたら、Step4の指摘をする

- 盲目的にただやることをこなしている人をみつけたら、Step5の指摘をする

こういったことが、日々のマネジメントにおいても機能できてくると、自分の課題が何かを具体的に理解できるようになり、周囲の人とも共有できるようになるのでお勧めです。

ちなみに僕自身は、無意識にしていると、1と3と4あたりに課題が出る傾向にあると自己分析しています。なので、そこを意識的に取り組むようにしているという感じですね。

以上、メドレーが今回刷新した行動規範の一つについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。他にもあと11個ありますが、どれも重要なものですので、機会があればまた触れていきたいと思っています。

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