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「好きなことを捻じ曲げるような自分になりたくない」画家・島村薫インタビュー vol.2

画家・島村薫の個展「机下の空論」の特別インタビュー後編。〈vol.1はこちら〉
前編では、絵を描くことに関して「視野の狭さ」を自嘲する彼女だったが、芸術に関しては「俯瞰的視線」が印象的だ。さらに作品から垣間見れる「子供のような純粋さ」と、芸術がすべてじゃないと言い切れる「大人ならではの冷静さ」。そんなデュアリスティックな彼女の作品には、私たちの過去と未来が詰まっているような不思議な感覚を覚える。

>二つめの展示会場「机の部屋」について

こっちは子供の頃の遊びをテーマにしてる。作風とか画風とかまったく関係なく、「作りたい!」っていう衝動で作ったような感じ。「子供の頃から絵を描いたり、工作したりするのが好きだったから、今もやっているんだな」と思ったから。こういう表現の仕方は初めて。チャレンジっていうか、普段やらないことをやろうと思った。

>展覧会タイトル「机下の空論」の意味は?

ここ(KOBE STUDIO Y3)のスタッフに「私、妹の悪口をコタツの裏に描いたことがあるんですよ」という話をしたのがきっかけ。妹を豚に見立てたキャラクターを自分で編み出して、妹と喧嘩した後に柱の陰に描いたり、漫画のコマに潜ませたりとかしてた(笑)「あいつ腹立つわ!」みたいな感じでやってたけど、後からどんどん「気づいてくれたら嬉しいな。見つけてくれないかな」みたいな感覚になった、という話をしたら「それ面白いかもね」って。

机の裏に描くっていう作業もちょっと変わっているし。それを見るにも、みんな潜り込まないといけないから。だから「机上の空論」じゃなくて「机下の空論」。

>こういった表現方法は今後も続けたい?

これを平面に落とし込んでいけないかなと思ってる。「なんでも自由にやっていいんだ」っていう風通しのいい感覚を、絵の方に還元したい。「子供の頃にやっていたことを大人になって本気でやったらどんなふうになるのかな?」と自分で見たかったというのもあって。そこに戻れたらもう一度、自分の絵との距離感やテーマ性も再認識できるんじゃないかと思ったから。

>絵を辞めることを考えたことはある?

「好きだからやっている」っていうのを頑固に貫きたいから、それを捻じ曲げるような自分になるなら辞めたい。業界と付き合うとか、うまくやる方法とかもあるんだろうけど、そんな器用じゃないし。流される自分は嫌。嘘をつくくらいならサラリーマンに戻ったらいい、というのが自分の中にある。

>自分の画家としての立ち位置について

「私、画家です(えっへん)」みたいなのになりたくなくて。片足はちゃんと社会を踏んでいたいというか、広い視野で物事を見たいっていうのがある。ずっと美術をやっている方は、それがすべてになってしまって、美術の世界で生きているけど。私は一回社会に出て、そうじゃない部分も見てきているから、ちょっと一歩引いている部分はあるかもしれない。芸術は、すごく大切なことだけど、すべてじゃないと思ってる。ちょっと違う視点を持つことで、心を潤わせるという部分においては重要なんだろうけど、そんな綺麗事だけでは生きていけない(笑)そこは30歳から始めたから余計そう思うのかもしれないな。

https://www.cap-kobe.com/kobe_studio_y3/?p=3222

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