富山_アートボード_1

地方の個性のはなし


先日、大好きなバンドを見に行くために2年ぶりに名古屋に行きました。

2年ぶりだって。新幹線使えば2時間で行ける名古屋にしばらく行ってなかった。

ある日フラフラとネットサーフィンしていたら、名古屋のなんだか良さげな本屋さんを見つけたので実際に行ってみました。

http://onreading.jp

店内雰囲気も、品揃えもバツグンで、今回のnoteはこの本屋さんで購入した本の感想日記です。珍しく。

「どこにでもあるどこかになる前に。〜富山見聞逡巡記〜」

著書である富山県出身の藤井さんは、大学を出て上京し、30歳直前でUターン。閉鎖性を感じながらも地元を愛すため、ライターとして活動しながら「第二の青春」を見つけていくエッセイです。


私の富山のはなし

この本を見つけて、なんとなーく運命を感じたんです。

昨年富山まで一人旅をして、私にとってすごく思い出深い場所になった富山。一回しか訪れたことがないけど、富山のファンです。



あの日の思い出が蘇るかなって少しの期待を込めて、手に取りました。

けれど、本の帯には「東京からでは見えてこない、『ほっこり』じゃない、地方のリアル」というコピーがあり、純粋な地方創生を願うエッセイじゃないなとは察しました。

それでも、富山の人の声が聞けるなら買ってみたい。

そう思った岡山県在住の私は、名古屋で富山出身の著者のエッセイを買うことになりました。


地方で生きるとは、再開発とは

この本を読んで知ったのですが、富山市は2007年に人口減少と高齢化社会への対応するため、持続可能なコンパクトシティ形成という目標を掲げて再開発計画を立てました。

確かに、私が訪れたときの富山の第一印象は「キレイな街」でした。こんなシンプルで美しい街があったなんてと感動した記憶があります。

でもこの再開発によって、寂しくて悔しい思いと戦っている富山県民のリアルな感情が、本からダイレクトに伝わりました。

富山県民にしか知らない影と匂い、雑多で隈雑なバックストリート、元々あった普遍性が再開発によって失われたそうです。

まったく知らない風景なのに、なぜか見覚えがある。富山の新しい街が、なんだか東京のどこかでみたような風景だったから。

どうしようもないこの感情を読んだときに改めて、街の再開発ってなんだろうと考えさせられました。

東京みたいな、お洒落な街をつくること?

便利な街をつくること?

観光客を増やすこと?

まったく新しい街をつくること?

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富山以外の人からしたら、富山の見えない個性までは読み取れないけど、私のような新しい富山の街を好きになってくれる人を信じてくれたら嬉しいなあ。

個性は再開発によって消えていくかもしれないけど、再開発によって新たな個性も生まれるはず。

藤井さんのような、地方をがむしゃらに生きる人が、地方の個性を見つけていくし、昔からある個性を守ってくれるんじゃないかと思いました。

東京で生きることも難しいけど、地方も難しい。

どんなに問題が直面しても、どんなに街が変化しようと、そこに人さえいればなんとかなる。

「そこに人さえいればなんとかなる。」この言葉を残してこの世を去ってしまった藤井さんの知人、島倉さんの話もジーンと心にきました。

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名古屋で半分読んで、岡山に帰ってきて残りを読了。

そういえば、今住んでいる倉敷市の駅前も再開発まっしぐらなんです。

よく使っていた自転車置き場が使えなくなったことぐらいしか心の変化はなかったものの、この本を読んだ後に、再開発中エリアの裏にある商店街の景色がふと現れてきました。

きっと、このエリアの影と匂いが大好きだった人たちがいたのでしょう。

その人たちは、再開発についてどう思うだろう?

街の個性を、どうか失われないように、守っていけますように。


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