かわいい子しか似合わない色
中学生のころからメイクにハマり、はじめてお小遣いでアイライナーとチークを買ったことをよく覚えている。
でも『毎日がっつりメイクしてます!』『新作は必ずチェックしてます!』『デパコス最高!!』なんて言えるほど、コスメオタクではないなあとは思っている。
けれど『リップ』だけは、ほぼ毎日使っているし、こだわりが強い。
淡いオレンジ色、紫寄りの深いピンク色、主張の強い赤色。5000円の高級リップ、400円ぐらいのお手軽リップ。今までいろんな色を唇にのせてきては、使い切っている。
そういえば、毎回使い切ってから新しいリップに買い替えていると友達に言ったとき、めちゃくちゃ驚かれたことがある。確かにコスメって使い切るの難しいよなあ。私みたいなメイクの回数が少ない人なら尚更である。
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そんな私だけど、固定で使っているお気に入りリップはなかった。
自分に似合う色がずーーーーーっと分からなかった。ずーっと。
唯一、Diorのオレンジ色のリップがかわいくて、発色が良くて、夏生まれの私に合うなあ!と思っていたのだけど、値段が全くかわいくなくて、リピートを断念した。もうあれは5年前くらいの話だろうか。就職祝いで自分に買ったリップだったと思う。
しばらく安っっすいリップを買ったり、またデパコスに戻ったりを繰り返し、自分に合う色を冒険してみたがイマイチ分からなかった。虚しいことに、Diorのオレンジ色のリップ以降、なんのリップを使っていたかあまり覚えていない。
だが1年前。
これだ!!!!!!!!!!!!!!と思えたリップに出会えた。
ロムアンドのティントリップである。
塗った瞬間に、探していたパズルの最後の1ピースを見つけたときのような、そんな気持ちよさを感じた。マット感、発色の良さ、持ち具合、塗り心地、そして値段。すべてが私のタイプだった。
リップ界隈では噴火するほどSNSでバズっていたので、『お前今更か!』という声が聞こえてくるが、私にとっては時期など関係ない。出会えたという事実に意味があるのだ。
マスク生活とはいえ、ロムアンドのティントリップを1年間で2本使った。
『このリップかわいいよね???!!!似合うよね???!!!』なんて布教しては、このリップを塗るたび『あ、きゆかのいつものリップだ〜』と言われるほど友達にも認知され、生活にかなり馴染んできた。
そろそろ色味が薄くなり、替え時がきたなと感じる。またロムアンドのティントリップを買おうと思っていた瞬間、ふと、ある過去の記憶が蘇った。
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「このリップの色かわいいよね?!」
『あ〜!それ、絶対かわいい子しか似合わん色じゃん。』
いつものようにロムアンドのティントリップを自慢していた、ある日の夜のことだった。
ほとんどの人は『かわいい!(もちろんきゆかじゃなくて色が)』とか、『似合う似合う!!(同情)』みたいな反応をされていた。(もちろん心の底から本当に似合うと思って言ってくれた友達もいる!!!!!感謝!土下座!)
しかしこの人は(男の子)、さりげなくこの言葉をかけてくれた。
『あ〜!それ、絶対かわいい子しか似合わん色じゃん。』
この瞬間、本当に、自分に似合うリップに出会えたんだと嬉しくなった。ずっと彷徨っていたリップの冒険に、やっと終止符を打てるんだと胸を撫でた。そして、この言葉をかけてくれた男の子にまんまと恋に落ちた。
(この男の子については、いつか10年後くらいに?エッセイか小説か何かで?登場させたいなあとは思っている。)
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もうすぐ梅雨が明けて、夏が始まる。
それと同時にまた、私にとって思い出のあるロムアンドのティントリップを買いに行こうと思う。自分に自信がついた、あの言葉を思い出したから。夏に合わせた、少し明るい色味を探して。
みつけてくれてありがとうございます。 いいね(♡)は元気の源です!サポートはもっと元気になります!笑 定期的に更新していますので、よかったらまた、きゆかの様子を見にきてあげてください!