見出し画像

カバ雄ファミリー

俺は根無し草
旅に旅を続けてさすらっている
楽器こそ弾けないものの
どこか吟遊詩人な自分酔いしれていた
ここがどこかなんて気にしたことはないが

画像1

なんだか距離感気にしなそうな
カバに急に話しかけられた
「君はこの辺ではみない顔だねー
 名前はなんていうんだい?」

『俺はきゃらをっていうんだよ
 なんか腹減ったなぁ~
 この辺で飯を食えるところないかな』


「いつもはお腹が空いた頃に頭を
 ちぎって分けてくれる人がいるのだけど」

それは何?怖いことを言い出したか?
俺が迷い込んだこの辺りの世界は
とんでもないホラーな世界なのだろうか?
カバが話しかけてくることも不自然だが
そもそも俺のフォルムも不自然だから
そこは言ってもはじまらない。

だけど頭をちぎって分けるって何?
という状況は想像できないな。

「まぁ待ってても仕方ないし
 僕のうちにおいでよ
 お母さんが美味しいケーキを
 焼いてると思うんだ。
 よかったらご馳走するよ」

なんでこいつこんな良い奴なんだ
見ず知らずの俺にこんな申し出
裏があるのかな?
俺を腹いっぱいにして
油断させて罠にかけるとか?
でもこの間抜けそうなカバなら
油断しなければ大丈夫そうだな

ぐ~~~~~~~
ぐ~~~~~~~

『いいのかい?』
お腹が鳴ってしまえば
背に腹はかえられない
お邪魔することにしたんだ

「あらカバ雄、そのお友達はだ~れ?」
「母さん、さっき知り合いになった
 友達だよ。お腹すいてるんだって」

画像2

母親の顔かなりいかついな。
ちょっとイノキ入ってないか?
てかこれは母親か?それと、4足歩行なの?
割とまんまカバだけどそのフォルムで
どうやってケーキ焼けるの?

あんまり俺が怪訝そうだったので
カバ雄が話しかけてきた

「気になった?」
『ちょっとね』
「だよね、カバ『雄』だもんね
 本家はカバオだものね。」

いやそこじゃないっ!!
そこはお前、作中の話だから
気にはならないし、
てかしちゃいけないところだよ
「まるまる一緒にするのはちょっとね
 これ有料記事だしね」

何の配慮をしているんだこいつは? 

ごだんごだんごだん
ごぉおおおおおおおおおん

不意に物凄い音がキッチンの方から
鳴り響いた。
とっさに警戒したけど母親の声がしてきた

「あら~~ケーキ落としちゃった
 やっぱり四足歩行じゃだめみたいね」

今なのか?
その気付きは当然としても
今なのか!?


人型の家に住むには
4足歩行では合わないだろう
「システムキッチンってだめね~」

だめなのはシステムキッチンではなく
お前のオツムだっ!!

ケーキを食べそこなっただけではなく
余計にカロリーを消費している気がするぞ
とっとと出て行って川で魚でも捕まえた方が
エネルギー確保にはむ向いているかもしれない

「ただいま~」
今度は成人男性の声がした
「わーパパお帰り~~」

!?!?!?!?!?

画像3

驚いた。どういうことだ?
人型でしかもハンサムじゃないか

ここから先は

2,133字 / 4画像
この記事のみ ¥ 200
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?