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プロ野球選手のピッチング・バッティングフォーム解説Vol.1

みなさん、こんにちは。

野球トレーナーの矢部です。(InstagramTwitterで情報発信中!)

突然ですが、『プロ野球選手のピッチング・バッティングフォームを解説する企画』を始めます。というのも以前よりTikTokでプロ野球選手のピッチングフォームやバッティングフォームの解説動画をあげており、おかげさまで2万いいねが来るほどとても好評です。一流選手の良いフォームや動作をみることはとても参考になりますし、その中でも共通点を見つけることでどの世代の選手にも活かせると思っています。そこで今後はnoteでも随時更新していこうと思います。

第1回は埼玉西武ライオンズ・森友哉選手です。

まずは動画をご覧ください。

【バッティングの特徴】

森選手の一番の特徴はなんといっても「スイングスピードがとても速い」こと。入団時点でのスイングスピードは150km/hを計測し、柳田選手と同じ数字だったようです。プロ野球選手の平均スピードは140km/hということも考えると、かなり速い分類に入ることがわかります。

また、スイングスピードが速いことの利点として、「打球スピードが速くなる」ことが挙げられます。2019年7月に行われたオールスターゲームでの大瀬良投手(広島カープ)から放ったホームランの打球スピードはなんと166㎞/hを記録しました。

打球が速いと、飛距離が出やすくホームランを打てる確率が上がるのはもちろん、ゴロであっても内野手の間を抜く確率は上がり、当然ヒットになりやすいということになります。

森選手は2019年には首位打者も獲得し、パ・リーグMVPになったことからもスイングスピードの高さが打撃成績に影響することがうかがえますね。


【バッティングフォーム解説】

では、バッティングフォームの解説に移ります。森選手のスイングスピードを生み出す秘訣は「捻転差」にあると考えます。

■捻転差とは?

一般に「割れ」と呼ばれるトップポジションでの骨盤と胸郭の捻れのことを捻転差と言います。

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骨盤はピッチャーに対して横向きからやや正面を向いているのに対して、胸郭(肋骨や胸椎などの胸の部分)はキャッチャー方向に捻られているのがわかると思います。

この捻転差により、次のスイング局面において「伸張反射」が起こります。

■伸張反射による回転

伸張反射とは「脊髄反射の一つで、骨格筋が受動的に引き伸ばされると、その筋が収縮する現象」です。(日本ストレッチング協会より)

筋肉はゴムのような性質を持っています。ゴムを引き伸ばすとそのあと勢いよく縮もうとしますよね。その時のスピードはすごく速いはずです。筋肉も同様に引き伸ばされると、その後勢いよく縮もうとする性質があります。これを伸張反射というのですが、その張力は、通常の筋肉自身の収縮よりも大きく、収縮速度も速くなります。

骨盤と胸郭の捻転は、この伸張反射を生み出し、その後のスイング局面の回転スピードを速める効果があるのです。

具体的には、腹斜筋群や広背筋が伸張反射により収縮されます。

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腹斜筋群は体幹を回旋させる作用があり、広背筋は肩を伸展(腕を出していく)させる作用があるため、スイングに寄与します。そのため、スイングスピードを向上させる一要因となります。

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では、森選手はどのように捻転差を作っているのでしょうか?


■テイクバックの特徴

捻転差を生み出すには、「テイクバック」にその特徴があります。

テイクバックは主にバットグリップをキャッチャー側に引く動作になりますが、森選手のテイクバックの特徴は、その『バットグリップが動かない』ことです。そして、逆に骨盤の方をピッチャー側に並進移動させています。

森友哉テイクバック

通常、この動作をすると手が前につられていきがちですが、森選手の場合は左の体幹・股関節がしっかりしており耐えられていると考えます。

前提として、最初の段階で軸足に体重がしっかり乗っていることが大事だと考えます。この時点で、前に体重が流れているようではその後の骨盤の並進運動につられて手が前に出てしまうからです。

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■回転軸が安定している

もう一つ、スイングスピードを上げるポイントがあります。それは「軸がしっかりと安定している」ことです。

スイングの支点となる軸はピッチャー側の股関節にあります。良いバッターは共通してここを軸に骨盤を回転させます。

身体の構造として、回転の可動域が大きいのはこの股関節を介した骨盤です。そしてもう一つは胸椎になります。実は、その間の腰椎はあまり回転する可動域はありません。「腰を回せ」というのは、感覚的な表現としては間違っていないかもしれませんが、実際の動きとしては間違っており、スイングにより腰痛を生じる原因になることもあります。

胸椎が回転すると説明しましたが、これを反映する良いバッターの特徴として「頭が動かない」ことも挙げられます。

回転軸を安定させるには、この「ピッチャー側の股関節」や「頭」が動かずにスイングすることが重要だと考えます。

森友哉 回転


【まとめ】

・森友哉選手のバッティングの特徴はスイングスピードが速いこと
・トップでの捻転差がスイングスピードを上げる秘訣
・捻転差を作るためにテイクバックで手を動かさずに並進運動する
・ピッチャー側の股関節や頭を動かさずにスイングすることもポイント


いかがだったでしょうか?

一流選手がなぜ打てるのか?これを深く考察していくことで自分自身のバッティングにも活かせると思います。今後も色々な選手のフォームを解説し、みなさんに還元できればと思います。


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