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ならばテレビは必要か

何かあれば母はテレビをNHKにしていた。
もう40半ばの私が、まだ子どもの頃のことだ。

大きな事故や、地震に台風。

だから日航機の墜落事故や阪神淡路大震災くらいまでは、私のニュースソースもNHKではあった。私くらいが最後の世代ではないかという気もする。

東日本大震災の情報は多くをネットで見て、Twitterで知った。
この10年で、情報を知る術の様相は大きく変わった。

なんとも前時代的な発想である。
「だって家にテレビは必要だろう」と信じているのだ。

私も妻も、ある種の話をしていると口にすることがある。
「そのころテレビなかったから」と。
ひとり暮らしのときに、必要がなかったので置かなかった時期がある。
20代後半からの何年か、お互い知りあう前だが家になかった理由は同じだ。なければないで見なかったので、いらなかった。

まさにネット全盛の、なんでもパソコンがあれば足りたのだ。

いまリビングには、ある。
AmazonプライムとNetflixのためのものだが、テレビというものではある。
何より、いっそパソコンどころかスマホがあれば足りる時代でもある。

おそらく上記の案が通れば、液晶モニターが売れに売れるだろう。
どうしてもテレビで見なければならない情報など今や皆無だ。

ちなみに我が家では、大河ドラマも紅白もすっかり一度も見たことがない。
ドアベルを何度も鳴らし、ドアノブまでガチャガチャとされて気分を害することがなくなる保険が今なら1日たった80円で、と思ってお布施している。

引っ越して直後、妻が「本当に泥棒か何かだと思った」と怯えに怯えたからである。払う必要がなくなるなら、多少は清々しいだろう。

だから是非とも届け出を義務化して頂き、その際は未設置であれば玄関先をガチャガチャとされない約束もして欲しいのだ。

ちなみに、かつてひとり暮らしのとき。
徴収員だという何人かが「見せろ」というので家に上げ、「テレビではなくパソコンのモニターだ」と説明し、電源を入れさせられることがあった。

不思議なことに未設置でも証明の何かを置いていくようなことはなかった。
そのたびに大名商売だな、と残された部屋でひとりごちた。

そんな会社のサービスを歓迎する世代は、きっとそろそろいなくなる。

だから最近のあれこれは、ゆっくり首を絞めはじめているようにも見える。
NHKが自らの、である。

#日経COMEMO #NIKKEI