大堀町の町家「ヨリアイマチヤ」
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大堀町の町家「ヨリアイマチヤ」

京都市下京区の烏丸通りから東に一本の通りと五条通りから北に1本の万寿寺通りとの交差点の角地に位置する、かつて呉服商を営んでいた大型の京町家を人々が寄り合うレンタルスペースへコンバージョンしたプロジェクト。

会議やセミナー、お稽古ごと、展示会やギャラリーなど多様な用途での利用が想定されている。

その受け皿として、出来るだけ大きな空間として知覚されるように視線の抜けや連鎖を意識した構成、伝統工法特有の火袋といわれる吹抜空間や軸組のダイナミックさが体感できる空間にしつらえている。

1階は中庭へ視線が抜けるキッチン付きの24畳の大広間、2階はアーティストmaisによる襖絵で仕切られた板間と茶室になっている。

「寄り合い」という少し懐かしい響きから名付けられた「ヨリアイマチヤ」は、これからの時代、多様な人々や利用用途をおおらかに受け入れる地域のよりどころになればと期待している。

改修前の様子

交差点の角地という好立地。町内の掲示板やゴミの回収場所に指定されている。

黒漆喰の外観

外観は今までの町家らしい佇まいは継承しながら大きな改変はせず、正面の外壁を黒漆喰に塗り替える程度にとどめている。
西側道路面は焼き杉板張りとしていて、上品で落ち着いた装いとしている。

玄関と階段ホール

もともとは台所で屋根まで吹き抜けいてる”火袋”と呼ばれるスペースを階段ホールにしている。
頭上から光が差し込むように屋根瓦の一部をガラス製の天窓を設け、2階の階段ホールの床は格子状にしている。
天窓から注がれた外部光が階段と格子床をかいして玄関ホールに導く。

24畳の大広間

改修前は全面に天井が貼られていたが、改修の際に剥がしてみると立派な大和天井があられたので、そのまま梁を見せる仕上げとしている。
一部、天井裏部分にエアコンなど設備配管スペースが必要なので、その部分は格子天井にしている。
建具は古建具を修繕して再利用している。
格子天井は先の方向で視線の方向を強調する作用もあるので、中庭へ視線が行くようにと考えている。

中庭の石庭

1階広間の延長線上に中庭を計画している。改修前はこのスペースも居室だったので減築をしている。
正方形の御影石を変則な市松状に建物の柱梁のグリッドから45度回転させて
並べている。
縦横の強調された日本建築のグリッドから45度逸らすことで、わざと違和感を感じさせ、空間に対する緊張からの緩和を狙っている。

通り土間と台所

玄関と階段ホールを抜けると、モルタル仕上げの通り土間になっている。
おくどさんを現代風にアレンジしたキッチンがあり、奥はトイレになっている。
ここでのモルタルは砂とセメントと水の従来の左官材のモルタルではなく、モールテックスというベルギーのメーカーが開発した薄塗り左官材を採用している。わずか2mm塗り厚で微弾性があるためクラックが入らず防水性に優れている。

2階の階段ホール

天井吹抜けのダイナミックな空間。
床の一部は格子状にしていて、直上の天窓かたの採光を1階の玄関ホールまで導く。

板間の襖絵

襖はアーティストのmaisによるもの。古典的な菊の躍動的な絵柄で空間に動的な印象を与える。
照明器具は店舗の什器などに使用する関節照明をむき出しに屋根裏からワイヤーで吊り下げている。

茶室

襖は板間と同様にmaisによるもの。
板間とは反対に静的な空間としていて落ち着いた趣としている。

建築データ

設計:川島裕一建築設計事務所
施工:松野工務店
企画運営:株式会社 八清
襖絵:mais
撮影:山崎純敬
構造:木造在来工法
規模:地上2階
延床面積:174.5㎡
所在地:京都市
分類:古民家再生・リノベーション・コンバージョン

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▶︎建築家/川島裕一建築設計事務所 ▶︎近江八幡市で設計事務所をしています ▶︎地域と環境と建築の豊かな関係をデザインしています ▶新築はもちろん、古民家改修や空き家の利活用にも携わる事が多いです ▶ホームページはこちら https://www.kwsm.jp/