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1:彼の中のなにか、になりたい

好きになってはいけないと、思えば思うほど好きになってしまうのは何故なのか。
自分が辛い思いをする事はわかっているのに、
報われる事は無いと知っているのに。

割り切った関係

彼には彼女がいる。婚約を考えている。
結婚するまでは遊ぶと断言している、結婚したらもう遊ばない。
彼にとって私は所詮遊びの関係、彼がいくら魅力的でも、私のものにはならない。彼の未来に、私はいることができない。

リモートで飲み会をした。2人で飲んで、酔って、寝るまで電話をした。

彼女みたいな事をしている。
疑似恋愛を楽しむ。胸がずっしりと満たされて暖かい。
そんな時に彼は言う、

彼女とあなたとは比べられないよ、彼女は別枠だから。
いつだって彼女を一番に思ってる。
友達に順番はつけないけど
もし付けるなら、あなたが一番だよ。

そんなのは酷すぎる。
黙っていてくれればいいのに、それを言うのは自己の防衛と私の気持ちにストッパーをかけるためだ。


ベットの隣には誰もいない。暖かい気がしていた なにか がなくなって、さっきよりずっと冷たくなる。
目が覚める、酔いが覚める。

わかっていても、言われたら悲しい。でも、この関係が生暖かいうちはまだ、彼に嫌われたくない。

「彼女が一番なら、それでいいんじゃない?私も彼氏が出来たら同じことをするよ。墓まで持っていって、隠し通すならね。」

不機嫌な気持ちを感じ取って欲しいような、欲しくないような。
そんな曖昧な気持ちで答えた精一杯の答えだった。
すると彼はこんなことを聞く。

あなたの他に、あなたと同じような関係の人がいたら嫉妬する?
気を許して、なんでも話せて、
毎日電話する相手が他にもいたら、
ちょっとは嫌だって思ってくれる?

「もし居ても私にはあなたを咎める権利がないから。」
彼は正直に言ってみて、と悪戯な声で言う。
私には酔っているという理由があった。
「嫌だよ(笑)」



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''土曜楽しみだね''
会う約束がある。

彼の言葉が響く。重く、深くに響く。
彼にとって私はどういう存在なんだろう。私はどういう存在で居たいんだろう。

彼の中の、 なにか になりたい。
私が彼にとって暖かいなにかだったら、嬉しいんだけれど。

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