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キシダは何しに欧米へ?【成果はあるの?】

ありがちではあるが、Youは何しに日本へ、のノリでタイトルをつけてみた。

岸田首相は、令和5年1月9日~1月15日まで欧米諸国を訪問した。国民が物価高による生活苦にあえぐなか、何を呑気に税金を使って外遊に行ったのだろうか?

それは、支持率が低迷し、もう政権が長く持たないと思われるため、思い出作りのためなのである。いわば、卒業旅行だ。

・・・という記事がどこかにありそうだが、そういうわけではない

それは、支持率が低迷しているため、自身が得意と思っている外交で「頑張ってますアピール」をするためである。

・・・という記事もありそうだが、そういうわけでもない (笑)

今年は5月にG7広島サミットが開催される予定である。日本はホスト国であり、岸田氏は議長だ。この忙しい日程を縫ってのG7諸国の歴訪は、G7広島サミットに向けての根回しをかねてのものである。

料理から人間関係、果ては国同士の関係に至るまで、何事にも下準備は大切だ。さらに、目下の世界情勢を鑑みるうえでも、これは非常に意義深い動きだと考えるので、少し深堀りしてみようと思う。

おおまかな背景を整理

現在、世界では大きな二つのできごとが起こっている。
①ロシア・ウクライナ戦争
②米中デカップリング

この①及び②の流れに対して、自由民主主義国であるG7諸国は一致団結して対処しようとしている。

さらに日本は、③自由で開かれたインド太平洋戦略、という独自の動きをみせている。

こういった事象がつづら折りとなっている状況下で、G7広島サミットが開催されるのである。しかも、広島は岸田氏の地元選挙区だ。

もともとのキャラが地味であるし、昨今はようやくマスコミからも叩かれるようになってきた岸田首相であるが、G7広島サミットにおいてはイニシアティブを取ろうとかなり精力的に動いているように見える。

フランス、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカを歴訪したが、私が特に重要と思った国を取り上げてみる。

イタリア

日本の世界戦略において、イタリアの重要性はさほど高くなかったが、日英伊での次世代戦闘機の共同開発が決まり、最近は重要度がやや増している。

日伊会談の様子を、外務省の報告から少しみてみよう。

岸田総理大臣から、昨年末に発表された日伊英3カ国による次期戦闘機の共同開発合意を歓迎しつつ、両国は基本的価値を共有するG7のメンバーとして国際社会をリードしていく責務を負っている旨述べました。両首脳は、日伊関係を「戦略的パートナー」に格上げすることで一致しました。
 岸田総理大臣から、日本が先月策定した新たな国家安全保障戦略について説明し、同志国である日本とイタリアが連携を一層強化していきたい旨述べ、メローニ首相から理解と歓迎を得ました。両首脳は、外務・防衛当局間の協議を立上げ、安全保障分野での連携を更に推進することで一致しました。
 両首脳は、水素、鉄道、素材、宇宙等の分野での協力が進展していることを歓迎しました。岸田総理大臣から、EUによる日本産食品への輸入規制措置の完全撤廃に向けたイタリアの協力を改めて求めました。
 また、両首脳は、日伊映画共同製作協定交渉が大筋合意に至ったことを歓迎し、最終合意に向け作業を加速化させることで一致しました。

外務省HPより

戦略的パートナーへの格上げがあった。あと、水素、鉄道、素材、宇宙等の分野で協力が進展している・・・らしい。

水素は個人的に注目分野なので、少し調べてみたところ、イタリアは水素テクノロジーにかなり力を入れており、ローマ近郊に「水素バレー」と呼ばれる集積施設を作る予定らしい。また、日本通運(NXHD)はベネチアで「水素ボート」による運搬の取り組みも始めているようである。

イギリス

イギリスは、日本にとってアメリカに次ぐ重要性の高い国となってきている。イギリスのEU離脱は、もともと海洋国家であるイギリスの本質への回帰であるし、イギリスがシーパワーとしての力を取り戻すためには、アジア太平洋地域における同じ海洋国家としての日本との連携が必要だ。

1902年に日英同盟を結んでいたことがあるが、ユーラシア大陸の東と西に存在する島国の両国が接近するのは、地政学上の必然である

イギリスのTPP加盟、日本のファイブ・アイズ参加などへ向けても、日英の一層の連携は欠かせない。

現地時間1月11日(水曜日)(日本時間12日(木曜日))、英国を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、リシ・スナク英国首相(The Rt Hon Rishi Sunak MP, Prime Minister of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)との間で、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定(日英部隊間協力円滑化協定)への署名を行いました。

外務省HPより

日英円滑化協定は、まさに「日英同盟復活」へ向けての大きな一歩であり、これについてはさすがに主要メディアも取り上げているので、ここではあえて深堀りはしない。

それよりも興味深いのが、こちらである。

チップマン国際問題戦略研究所(IISS)・・・米英はこういった政策研究のシンクタンクが極めて強い力を持っており、有力なシンクタンクの存在しない日本にとってみれば、こういったところから得られる情報も大きい。

もちろん、「何の話をしたのか」ということについては表に出ることがないわけだが、各方面に顔が利き、政府にも影響力を発揮できるこういったシンクタンクとの関係強化は良いことだと思う。

当ブログ的には、スナク首相との首脳会談より、こちらの方が興味深いニュースだ。

アメリカ

前々政権(安部政権)時代から、日米関係の深化に取り組んできた日本であり、岸田氏は初期のころに外務大臣としてそれに関わってきた。従って、日米関係の機微というものを誰よりも理解していなければならないはずの人物の一人である。

その意味では、安心して見ている。

今回の日米首脳会談の中で、目玉と思われるのが「日米宇宙協力に関する枠組協定」である。

要は、日米は宇宙開発でも共闘しますし、宇宙空間でも日米同盟は有効ですよ、という内容のもので、これは誠に画期的なことなのではなかろうか。

なお、宇宙開発については、「株式投資」という観点から別記事にまとめている。


キシダは何を考えているのか?

最後に、岸田総理はジョンズ・ホプキンス大学で講演を行ったそうである(全く報道されないけどw)。

こういう場にこそ、キシダという人物は何を考えているのかということが表れると思うので、外務省HPから要点を抜粋したい。

現地時間1月13日午後3時(日本時間14日午前5時)から約1時間、米国・ワシントンD.C.を訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)において、「歴史の転換点における日本の決断(Japan’s decisions at history’s turning point)」と題する講演を行ったところ、概要は以下のとおりです。

冒頭、岸田総理大臣から、国際社会は歴史的な転換点にあり、我々が奉じてきた自由で開かれた安定的な国際秩序が重大な危機にさらされているとの現状認識を示した上で、より良い未来を我々の次の世代にもたらすための日米関係強化の重要性を強調しました。
続けて、岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略に際しての対露政策の転換及び新たな国家安全保障戦略等三文書の策定による安全保障政策の転換という、日本の外交・安全保障政策に関する2つの大きな決断について述べました。
その上で、岸田総理大臣から、日本として外交を更に強化していく考えを述べ、G7を中心とする同志国の結束の強化、いわゆる「グローバルサウス」と呼ばれる国々への関与の強化、そして中国との関係という3つの要素が、国際秩序の次の姿を描いていく上で必須である旨述べました。
最後に、岸田総理大臣から、これら全てにおいて、日米同盟の下での協力が基軸となるとして、米国のインド太平洋地域へのコミットメントが不可欠であり、米国と共に、この歴史的転換点を乗り越え、「自由で開かれたインド太平洋」を守っていくとの強い決意を述べました。

外務省HPより

要点は3つ。
①国際社会は歴史的な転換点にあるということ。
②日本としては外交的コミットメントをさらに強化していくこと。
③米国とともに自由で開かれたインド太平洋を守っていくこと。

これを見てどう評価されるかは人それぞれだと思うが、私は支持したい。金融・財政・経済政策ではサッパリ評価のできない岸田政権であるが、外交・安全保障分野ではなかなかの安定感を発揮している。

特に、①.「世界は歴史的な転換点にある」ということ。

これ、めちゃくちゃ大事なポイントである。国民の多くは、「ああ、ぼくたちの生きている今日このごろは、歴史の転換点なんだな~」などと思いながら生活していないと思うし、恐らく批判ばかりしている野党議員たちの中にもその認識がある者は少ないだろう。

けれども、いま、世界は歴史的な転換点にあるんです!

今後100年スパンでの世界秩序の組み換えが、いままさに起こっている最中であり、少なくともそれを認識しているという点で岸田さんは他の総理候補と言われている人たちより幾らかマシである。

歴史的な転換点」において、日本の世界戦略である「自由で開かれたインド太平洋」を推進しながら、「更に外交力を高めていく」。

これは現在の日本が目指すべき姿の、ほぼパーフェクトな答えであると思うが、読者のみなさまはどのようにお感じになるだろうか。

もとい、この素晴らしい見識のもとに、G7広島サミットでどのように世界にメッセージを発信していけるのか、岸田政権の腕をみせてもらいたい。(ただし、増税路線を続ける限り、政権トータルとしては支持しない)

(画像は写真ACから引用しています)


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