AIバブルはEV(電気自動車)狂騒曲の二の舞になるという説
いまや、猫も杓子もAI、AI・・・ゲームのグラフィック用の半導体(GPU)を作っているに過ぎなかった米NVIDIAが、「実はAI計算にも役に立つ!」ということで株価爆上がりして、現在のAIバブル(半導体バブル)を牽引する存在となっている今日この頃・・・こんな興味深い記事があった。
現在と今後のAI業界、およびEV業界を俯瞰するのに興味深い内容なので、簡単にまとめてみる。
いいことばかりではないAI
まずは、記事の「結論」となる最終部分からみていこう。
「AI界の神」であるヤン・ルカン氏が、「AIはネコに及ばない」と述べているそうだ。さらに・・・
著明投資家のジェレミー・グランサム氏も、「AIバブルは弾けて景気後退となる」と予測しているとのこと。もっとも、グランサム氏は数年前から市場に対する悲観的見方をしているようである。
この二名の有名人の発言を結論部分に持ってくる論拠として、記事中には「AIは信頼性と利便性の面で大きな問題を抱えている」ということの具体例をいくつか述べている。
一例を述べれば、現状では下記のような「実際上の問題」がなかなかクリアできない、といったことがある。
つまり、期待先行でAI投資が進んでいるが、その投資を回収することができるほどの実際的な能力はAIにはないだろう、という考えである。
EVバブルとの類似性
この記事の興味深いところは、この「AIバブル」がEVの普及に対する期待と失望に類似していると指摘している点である。
EV(電気自動車)に関しては、まだまだその将来性に期待している人も多く、この記事の内容について賛否が分かれると思うけれど、私個人は「賛」の立場である。
EVの過去と現在を「起承転結」でまとめると、以下のようになる。
①クリーンディーゼルで儲けることができなくなった欧州メーカーが、日本のハイブリッド車に勝つために「これからはEVの時代だ」と喧伝した。
②SDGsの時代背景に乗っかり、EV期待爆上がり。
③中国が国費をブチ込んでEV開発に総力をあげる。
④価格で中国EV車に勝てないことを悟った欧州勢は、「別に水素だっていいんだけどね」と言い始める。
そもそも豊田章男氏がプレゼンしていたように、電池の生成から廃棄までのプロセストータルで見れば「決してエコとはいえない」代物である。
さらにユーザー目線でいえば、バッテリーって交換がバカ高く、リユースがきかない(中古車として売れない)ことが徐々にバレてきた。やっぱりアメリカでも、ハイブリッド車の方が売れているようである。記事作成時点で、テスラの販売車数が予想を下回っているとの報道がある。
ということで、EV期待は以前よりははるかに萎んでいるのが現状である。テスラも、低価格帯のEVからは撤退の方向のようだ。
EVにバラ色の未来は見えにくくなってきている。
AIも、これに似たプロセスを辿るとすれば、未来に対する興味深い羅針盤になるのではないだろうか。
ここでは語られていないもう一つの問題・・・電力!
個人的には、この記事中には触れられていないが、AIの社会実装が進むうえでもっとも「現実的な問題」となることがある。
それは、「電力の問題」である。
生成AIを少し使ってみれば分かると思うが、ものすごい計算機リソースを使っており、そこにかかる電力負荷は莫大である。AIの社会実装がすすみ、いたるところで「AI計算」が行われるようになれば、社会全体の電力需要をかなり食う存在となるだろう。
ハードの面では、この「電力問題」が解決されない限り、期待されているほどにAIの社会実装は進まないだろうと、私も予想する。
EV同様に、AIにも電力の問題がある。どちらの未来も、可能性がありそうで、けっこう苦しい問題も多く内包している。
(画像は写真ACから引用しています)
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