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長く働こうと思うから辞める?

森博嗣『「やりがいのある仕事」という幻想』を読んでいます。

辞めてしまう人は、もともとは長く勤めるつもりで就職先を選んでいる。長くそこで働きたいと思っているからこそ、ちょっとしたギャップを見過ごせないのだ。 (p.136)

著者も例にあげていますが、就職先を「」に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。

数年で引っ越すだろう」と思ってアパートに住んでいれば、隣の人が多少うるさかったりするなど、少しくらい気に入らない点があっても見過ごせるでしょう。

しかし、ローンで購入したマンションや一戸建てといった、おそらく長く、あるいは一生住むであろう家になると、話は変わります。
隣人のことや家の設備などに対して、もう少し神経質になり、ほんのちょっとしたことでも頭に血が上ってしまいます。

自分が住む家であれ、働く会社であれ、「長くい続けよう」と思うと、ちょっとしたギャップ、不満を見過ごせなくなってしまいます



さて、ギャップを感じた時に、「辞める」という選択をする人と、「い続ける」という選択をする人にわかれます。
また、「い続ける」人の中にも、ずっと文句を言っているだけの人と、そうでない人がいます。
その違いはなんでしょうか?

その人が会社という環境を「与えられる」のものと見ているのか、「変えられる」ものと見ているのかによる違いではないでしょうか。

会社環境を「与えられる」ものと見なす人は、「受け身」な人です。
たとえば、自分から組織文化を変えようとしたり、待遇をあげようと組織にはたらきかけたりすることはしません。
不満を感じて愚痴るだけであったり、「もっと良い環境を与えてくれる会社があるはずだ」と思って辞めてしまいます。

一方、会社環境を「変えられる」ものと見なす人は、「主体的」な人です。
何かギャップを感じた時に、自分で環境をより良いものに変えようとします。たとえば、自分で改善案を提案したり、上の人に交渉したりするでしょう。(ただし、単なるワガママではなく、組織の都合やメリットも考える必要はありますが)

最近は転職も一般的になってきて、環境を乗り換えることが簡単になりました。すぐに別の環境にうつることができます。
しかし、「自分が求める100%にこたえてくれる」会社に出会える確率は高くないことは認識しておくべきだと思います。

長くい続けるにせよ、数年で転職するにせよ、会社という環境を「自分で変えられる」ものと見なし、主体的に変えていく姿勢を持つことは重要ではないでしょうか
新卒で入社する学生は特に、「環境は与えられるもの」と思っている傾向が強いと思います。新人研修でマインドを「受け身」から「主体的」に変えるには、どうしたらいいんでしょうね。

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