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小さい成功体験の積み重ねと、目指す象の可視化が意志を厚くする

私が指導しているのはボート競技です。
高校にもある場合もありますが、限られています。つまり、大学からでも部活動で本格競技として始める人が多いマイナー競技です。私が指導しているところは特にスポーツ推薦枠があるわけでもありません。

要するに、大学に入ってきた時点で最初から競技のことを知っている人はいないです。いても稀です。
つまり最初からこの競技をやりたいと意志をもってくる人はいません。
最初に声かけをしてみて、試しに一緒にやってみて、楽しいと思ったりしてくれた結果として、部活動としてやってみようかな、、という思考が自然です。

しかし、どんな競技もそうでしょうが、本気で上を目指そうと思うと、やってみると練習はきついですよね。トレーニングは、己の限界を高めていくものですから、それはそうです。肉体的・精神的に鍛えられますが、きついことの裏返してもあります。
大学で4年間やり抜こうと思うと、やらされている感ではまず続きません。

だからこそ、選手自身が自分で「こうなりたい」、「強くなりたい」という意志が必要です。
意志を持つのは選手自身の能力のひとつですが、指導者はこの意志を作っていく補助をすることはできると思っています。

そのためのポイントは以下の2つです。
①小さい成功体験を重ねさせ、自分の成長を実感させること
②自分が目指す姿を具体的に可視化させること

①については、毎日の練習でできたことを意識させるために振り返りノートを書いてみる、数字に残るものは記録を残し続ける、練習のビデオを見て自分が少しずつできるようになっている姿を見せる、小さくてもいいから何か大会に出てみるなどです。
②は大会の決勝戦など高いレベルの試合を見るなどです。自分が出た大会の決勝戦であったり、直接の先輩が上位の大会で戦った過去のビデオなどがより身近なものとして感じられて良いでしょう。

入部して最初のうちは「何々の大会に出てみよう」、「次の練習はどうやってみよう」、「腕はこうやって動かしてみよう」という風にある程度細かく教えてあげる。すなわちティーチングが良いです。自分で考えさせるにしても、考えさせるためのインプットが乏しいためです。

しかし、上記①や②をしばらく継続し、自分の成長を実感したり、将来の姿が想像できてくるようになるうちに、だんだんと意志が芽生えてきます。
ここで初めて、「一緒に目標を描く」や「そこに向けた道筋を描く」というコーチングが効果的になってきます。
段々と成果実感ができていると、コーチとの信頼性も作れてくるので、この頃には個別に向き合って話をしやすくなっており、本人の意志を感じ取ることもできるようになっているでしょう。
「どうなりたい?」、「どうしたい?」といった質問にも何らかの返答が帰ってくるようになり、自分の意志を前提に、思考ができるようになってきます。

やっちゃいけないのは、最初の段階でいきなり「このチームは全国優勝を目指しているんだ、だからキミも目指すんだ」、「練習はこれとこれをやってみなさい」というようにゴールを押しつけ、道筋まで敷いてしまう指導を進め、それをずっと継続してしまうこと。

書いた通り、最初の段階はティーチングが必要ですが、長く競技生活を充実させて本領発揮させていくためにも、意志をもって選手が自分で考えられるようになるのが大事。(この大事さについては、以下の記事を参照)

意志を強く持って取り組む補助としては、成功体験と姿の可視化をしてあげること。

みなさんの指導はいかがでしょうか。

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