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スポーツ指導者を長く続けるために大切なこと

スポーツ指導の時間捻出とライフイベント

私は大学生で競技の現役を終えてから、かれこれ15年間現場の指導を行ってきました。約5年コーチを担い、約10年ほど監督を続けてきています。もちろんこれは本業ではなく、会社員をする傍らでの話です。つまり、現場指導はおおむね週末になります。

大学を卒業したのが22歳、今は38歳です。
この間に会社員としては海外と日本を行き来するような仕事を担当することもありました。結婚もしました。こうしたライフイベントが起こってきた中でも、ずっと指導の現場にいます。

今振り返ると、自分で意志を強く持たないと、ここまで長くは続けてこれなかったと思います。なぜなら、やはりライフイベントが生じると、生活が大きく変わり、指導を行うための時間づくりや、やり方に工夫が求められるからです。

海外と日本を行き来していたのが2012〜13年頃。コーチを増やして現場を見れる人を充実させ、自分がしばらく見れない部分をカバーしてもらっていました。
時々現場にいけた際に、今どういった取り組みをしているのかがわかるよう、コーチ各々から情報を共有してもらうだけでなく、練習ノートを皆が見れるところに置いておいてもらったりしました。そういった周囲の協力もあって、日本で時間が作れた限られた時間でも、まるで歯磨きをするかのように当たり前に指導現場には向かうことができました。

ライフイベントのタイミングと指導の醍醐味がわかるタイミングの重なり

学生スポーツの現場指導は、何年かやって初めて面白さがわかってくるものです。なぜなら、入部した1年生が卒業するのに4年かかるからです。入部してきた1年生に対して、どのように育成をしていくことで最終的にどのような成果になるのか、それを検証するのに4年かかります。
そういった検証からの学びをもとにして自分のやり方をブラッシュアップし、より良い成果に繋げていこうとするとやはり6年、7年とかかります。

一方で、大学を卒業してから指導者になったとして、6年、7年すると年齢は30歳手前、、というところでしょうか。社会人として活躍の場が広がり、結婚や出産といったライフイベントも起こりやすい年齢です。
指導者としてはまさにこれから学びを活かして発揮できる、、そういうタイミングで戦線を離れがちになります。
それぞれに事情はありますし、人生において何を大事にするかの価値観はそれぞれですから、このタイミングで離れてしまうことは責められるべきことではありません。
気持ちは本来は向いていても、なかなか現場に向かう時間が確保できない、そのうちに現役選手とも距離があいてしまい、行きづらくなるということもあるでしょう。これはとても自然な話です。

考えるべきは、こうした時でも関われる指導やサポートに関与できるポジションを指導組織や後援組織の中で用意したり、自分で見つけることだと思っています。
スポーツ指導の現場は基本的にはボランティア精神で成り立っています。少しでもそういった精神を持ってきた人が離れてしまうのはとても残念ですし、勿体無いことです。

指導者を長く続けていくために大切なこと

そして今、私自身これまで約10年続けてきた監督のポジションを空け、来シーズンは少々現場を離れ、OB会からの資金調達の仕組みの運営や、試合観戦の呼びかけ、選手やチーム組織強化に向けた監督に対するアドバイスといった役割を担うことにしました。
これは、来年私が子供を授かる予定であるというライフイベントが生じる中で、強化組織内で話し合い、現状のチーム課題に対して何ができるかを考えた結果です。

どうしても自分の家庭のことがこれから忙しくなるため、現場にいく時間は短くなると思います。ですが、この役割であれば多少その時間確保が難しくなっても、成立させることができそうです。
逆に言えば、全く現場にいかないと難しいポジションでもあるため、そちらにいく自分に対しての動機づけにもなります。

私がこのような選択をできたのは、後輩が数年間コーチを担ってくれ、監督を引き継ぐ先があったからです。たまたまでしたが、要職を継承できるようにしておけたことが幸いでした。

先に書いた通り、一度現場を離れてしまうとなかなか戻ることは難しいです。よって、1人の指導者が長く続けられるフィールドがあるということは、それだけチームを支えるメンバーが増え、チームが長く持続する確率を高めやすくなるということかと思います。

制約がある中でも、続けられる仕組みを考えていけるように指導者間や強化組織内で知恵を出し合い、力を分け合って現場を作ることが大切です。

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