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翻訳:日本のワクチンキャンペーンはなぜ遅れたか?

[注意!]
本稿は大ざっぱに翻訳(意訳含む)しただけなので,記事の原文に目を通すことを強くお勧めします.

<翻訳元の記事>
EXPLAINER: Japan begins vaccination drive, but why so late?
[東京 2月17日,AP]

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▼翻訳本文

 米国など他の多くの国が2ヶ月前に使用開始したファイザー社共同開発のワクチンについて,政府が遅れて最初の承認を与えた後,日本は水曜日(17日)にCOVID-19の予防接種キャンペーンを展開する.
 ワクチンによる比較的まれな副作用が話題になりがちな日本では,予防接種を急いで受けようとしない人もいる.このような消極的な姿勢は,1年遅れで今夏に予定されている「東京オリンピック」にとって大きな問題となる可能性がある――ワクチン接種は大会開催のカギとされているからだ.

 国内のワクチン開発はまだ初期段階にあり,輸入に依存する日本は供給の不透明さに直面している.また,すでに緊張状態にある日本の医療システムが,地元の患者と大量のワクチン接種をこなすなかで,ほかの訪問者を治療できるかどうかも不明である.

 AP通信は,世界第3位の経済大国である日本が,コロナウイルスの予防接種を追求するのが遅れている理由を見ていく.

◇なぜ遅れたのか?

 これは,ファイザーの多国間試験に加えて,日本での臨床試験を日本政府が要求したためである.
 11月に発表したファイザー社の試験結果を数十カ国が受け入れ,(スケジュールを)前倒しした.ファイザー社は海外でのデータに基づき,12月に日本での緊急承認を申請したものの,日本政府は今年1月下旬に提出された国内での試験結果を待ってから日曜日に許可を出した.

 これらは2ヶ月で実施されたが,慎重さと官僚主義で泥沼化していることで知られる日本において,(通常要する期間である)平均1年間よりもはるかに早かった.
 もうひとつのサプライヤーであるアストラゼネカ社の承認プロセスは最近始まったばかりであり,3番目のサプライヤーであるモデルナ社は日本ではまだ申請していない.

◇なぜ日本はより多くのデータを求めたのか?

 日本の人々はワクチンに懐疑的であることが多く,当局者は安全性に関する懸念を徹底的に払拭する必要があると感じていた.
 田村憲久厚労相は先週,7月から11月にかけて6カ国の約44,000人を対象に実施されたファイザー社の試験のうち,アジア人が含まれていたのは"ごく一部"であったと述べた.
 それでも,データには約2,000人のアジア人のサンプルが含まれていたことになる.評論家のなかには,たった160人の日本人を対象にした追加試験について疑問視する声もある(さらなる遅れを除いて).

 ワクチン接種担当の河野太郎行政改革担当相は,この遅れについて擁護するコメントを出した.彼は「政府にとって,ワクチンの接種を奨励するために,すべてが行われたことを日本の人々に示すことの方が重要だった」と述べた.

◇なぜ日本ではワクチンの信頼性が低いのか?

 日本のワクチンに対する不信感は何十年も前から存在する.多くの人がワクチンに対して漠然とした不安を抱いているが,その理由のひとつには,ワクチンの副作用がしばしば問題視されてきたことが挙げられる.

 1990年代に日本政府は,いくつかのワクチンに関連した副作用の責任があるとの判決を受け,強制接種を廃止した.
 さらに最近では,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが海外で広く使用されているにも拘らず,子宮頸がんに対する安全かつ効果的な予防法としての懸念が再燃し,日本では副作用の疑いがあるとの報道から,HPVワクチンの推奨を中止した.

 毎日新聞の最近の調査によれば,すぐにでもコロナウイルスの予防接種を受けたいと回答したのが,回答者の40%未満であり,約60%が様子を見てみると回答している.

◇日本のワクチン接種スケジュールは?

 COVID-19の患者を治療する約4万人の第一線の医療従事者が,100の病院でファイザー社のワクチンの初回接種を受ける予定である.そのうちの半数は,副作用の調査とその後の健康診断に参加し,公共の安全性への懸念を和らげようとしている.
 ほかの約370万人の医療従事者が次に受けることになる.高齢者は,基礎疾患を抱えている人よりも先に,4月に順番が回ってくると予想されている.16歳以上の人が対象となるのは,6月頃となる.

◇日本にワクチンは十分にあるのか?

 日本は後発であるにもかかわらず,ワクチンがまだ開発段階にあった7月に,ファイザー社とほかの2社,アストラゼネカ社とモデルナ社との契約をいち早く結んだ.
 日本は今年末までに,全人口をカバーするのに十分な3億4,400万回分のワクチンを確保した.これには,ファイザー社からの1億4,400万回分,アストラゼネカ社からの1億2,000万回分,モデルナ社からの5,000万回分が含まれている.

 日本は6月までに全人口分の接種分を確保すると約束していたが,ファイザー社とアストラゼネカ社の供給源の多くが生産されているヨーロッパにおいて不足していることから,見通しが立っていない.
 河野行政改革担当相は火曜日,ワクチンを間に合わせるのは「難しい」と述べた.彼は楽観的な考えを示したが,ヨーロッパからの供給が日本でのキャンペーンの進捗を決定すると述べた.

◇日本は独自のワクチンを開発中?

 日本のいくつかの企業や研究機関がコロナウイルスワクチンの開発を進めているが,まだ初期段階にある.武田薬品工業がモデルナワクチンを販売し,ノババックスワクチンを国内で製造するほか,JCRファーマがアストラゼネカワクチンをライセンス契約で製造することになっている.現在は,アストラゼネカ社のみが承認手続き中となっている.

 専門家によれば,日本でのワクチン開発は,リスクや時間を要するプロセス,政府の資金不足などの理由から,不人気な研究分野になっているという.
 志絵扶のコロナウイルス感染症対策分科を会長の尾見茂は,日本製薬会社による国際競争力の欠如を,ワクチン開発の遅れの理由として挙げている.

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