夕闇遊園地



 夕景は、毎日違った温度を持って現れる。人肌より熱いときもあれば、雪より冷たい日もある。閉園が決まった遊園地の最後の夏休み、私が訪れた遊園地で見た夕景は、あふれかえった人のはしゃぐ声やあまい焼き菓子やポップコーンの香りが混ざって熱っぽい温度を伴っていた。


 それに気付いたのは年期の入ったメリーゴーランドでユニコーンの背中に乗った時だった。三拍子の簡単な旋律に合わせて回りつづけるメリーゴーランドは誰かの人生のようだとある人が昔言っていた。

 三周位してその人は容易く死んでいったが、同じところをまわっているように見えたのは彼がガラス職人だったからでも、つまらない人間だったからでもないだろう。

 彼がそれを望んでいたからだ。

 
 
 強化プラスチック製のユニコーンににはめ込まれた碧いビードロの目が夕焼けを捉えていた。 

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テーマ:遊園地

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