先輩になったのではなく、先輩にしてもらった|「仲間」とのつながり
学生たちには、一人ひとりに大切な「つながり」があり、物語があります。
さまざまな人々と出会い、それぞれの経験を積み重ね、自分らしく輝く学生の姿を追いかけます。
“運命”のようなものを感じて
神大フェスタ(大学祭)実行委員会に入っていなかったら、大学生活がこんなに充実することはなかっただろう。
先輩とのつながり、同期とのつながり、後輩とのつながり、そして大学職員や地域の方々とのつながり。いろいろな人とのつながりがあるからこそ成長できたし、今の自分があるのだと強く思う。
中学、高校と部活には入っていたが、友達づくりは得意ではなかった。自分から積極的に動くタイプでもなく、小さな輪の中で生活しているだけ。あまり交友関係を広げてはこなかった。
地元を離れ、知り合いのいない土地で、ゼロから始める大学生活だったからこそ、新しい人間関係を築きやすい。大学生でしか経験できないことをしたい。神奈川大学でしかできないことをしてみたい。大学生活を始めるにあたり、そう思った。
入学した当初、サークル勧誘でもらったたくさんのビラのなかで、なぜか印象に残った実行委員会のビラ。白黒で印刷された、取り立てて目立つものでもないその小さな紙に、何か“運命”のようなものを感じて、勇気を出して連絡をしてみた。
それが、はじまりだった。
神大フェスタは学生が主体となって企画運営する大学祭だ。実行委員会は1年生から4年生まで合わせて120人ぐらいの大所帯で活動している。
1年生のときは、先輩と一緒に、サークルや部活動のフェスタへの参加を勧誘して回った。頼りになる先輩の言うこと、することをただ真似して、ついていくので精いっぱいだった。
2年生になると、後輩を指導したり、先輩と後輩の間をつなぐ役目を担ったり、少しずつ先輩としての責任感が芽生えてきた。
先輩から学んできたことを、今度は後輩へつなぐ
3年生となり、実行委員長に立候補した。
目指したのは、組織の代表としてメンバーを引っ張っていくというよりは、メンバーたちを後方からサポートするリーダーとしての姿だった。先輩ではあっても、親しみやすく話しかけやすい存在でありたいと思った。
先輩たちが積み上げてきた実績を守りつつも、自分にしか出せない色を出したい。よく先輩から言われた「現状維持は衰退」の言葉を肝に銘じて、新しいことにチャレンジしようとするメンバーたちを支えていこう。「そのために何が自分にできるか」を常に問いながら、学生課職員や地域の方々とも連携して、メンバーたちが動きやすい体制を整え、全体の企画を進めてきた。
そして、フェスタは成功に終わった。実行委員長としての責任を果たし、後輩へ道を譲った。決して自分は上に立つのが得意ではない。だからこそ、メンバーと一緒にフェスタを作り上げたいと、サポート役に徹してきた。
あるとき実行委員会の先輩から、「お前も先輩になったなあ」と言われたことがあった。その言葉を聞いて感じたのは、自分は「先輩になったのではなく、先輩にしてもらった」という気持ちのほうが大きいということだ。
夢中で先輩の背中を追いかけて学んだことを、自分が後輩たちへとつなぎ、彼らを支えることができた。大学生活最後の1年は、これまでに出会った多くの人たちへの感謝の気持ちを忘れずに、一日一日を大切に過ごしていきたいと思っている。
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