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学問への誘い

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『学問への誘い』は神奈川大学の教員が大学と学問の魅力を伝えるために執筆したエッセイです。自身の経験など踏まえ個性豊かな作品が多数収録されています。 1986年創刊、2020年か…
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記事一覧

一緒に山を越えた仲間は、一生の仲間になる。

 「意味ないジョークで笑い合う」。私が大学生のころ、こんなフレーズの歌がありました。偶然聞いたCDに入っていた曲でしたが、妙に惹かれたのを覚えています。学生時代を思い出すと、辛く苦しい思い出よりも、この歌詞のように仲間と意味のないことでゲラゲラと何時間も語り合い笑い合っていたことが思い出されます。”この瞬間”を共有した仲間とは、今でもお酒を酌み交わしながら意味ないジョークで笑い合う仲ですし、なかなか会えなくても見えない絆で結ばれています。しかし”この域”まで辿り着くには、ただ

コミュニケーション詐欺にダマされるな?

 入学早々の皆さんに卒業後の話をするのも気が早過ぎというものだが、いや就職は大事ですよ。働く必要がないなら誰も大学なんか来ないよね、家で遊んでますワ。で、入学準備に手一杯で、さらに将来のことなんか考えてるヒマなかったろうけど、皆さんの先輩四年生たちの就職活動「就活」がよくテレビや新聞で話題になってるの、知ってたぁ?そこで連日出てくるキーワードが「コミュニケーション」なんデス。  「社会人として一番必要なのはコミュニケーション能力」、「コミュニケーション力こそ就活でアピールす

「未知の知」への誘い 難解本の扉を開けて

 大学は、自分を深め、高めていく場所です。 私は大学入学から20歳までは、とても多感で敏感な学生でした。 大学入学前後は、アルチュール・ランボーの詩『地獄の一季節』や中原中也の詩が好きで、詩は書くのも読むのも大好きでした。創造的感性を一番大切にしていた頃かもしれません。 同時に哲学に憧れがありました。大学ではヘーゲル哲学を学びたかったのですが、他方、国際にも興味があり、結局は、国際関係で身を立て、今に至っています。国際政治分析は、自分が人と異なる分析ができる得意分野で天職かと

学びを深めるための情報との付き合い方

大学での学びということについて考えてみると、自分が大学に入った頃と比べて大きく変わった点がいくつかある。学びにおける統計データ※の入手のし易さは、その一つだと思われる。今では信じられないかもしれないが、20年程度前は、容量が1.4メガバイトしかないフロッピーディスクが(流石に姿を消しつつあったが)まだ普通に利用されており、数十メガ程度のデータを扱うことですら苦労した。インターネットを通じた統計データの提供は始まりつつあったものの、十分に整備されておらず、紙の統計書を見なければ

時間に使われるのではなく、時間を上手に使いこなす(時間管理)ための方法

「時間の管理」というものは、日常生活を送るうえで切っても切れないということが言えると思います。時間の管理を別の言い方で表現すれば、時間と上手に付き合うとか時間を上手に使いこなすということになるのでしょうが、これはなかなか難しいものです。生まれてから現在に至るまで、「時間管理」に悩まされて生きてきた方も多いのではないでしょうか。皆さんは、課題について締め切りに遅れてしまうことや、ぎりぎりになって徹夜したりして大変な思いをしたことがないでしょうか。また、やるべきことがたくさんあっ

Growing through exchanges

大学生になったら、違った視点で自分を見つめてみませんか? 私はフランスノルマンディー地方出身ですが、イギリス、ドイツなど多くの国々を訪れました。そして縁があって現在は日本で教鞭をとっています。異国には別の文化、新しい出会いがそこにあります。知らない世界に飛び込むことは勇気がいりますが、きっと素敵な景色をみることができるでしょう。  I would like to invite you to embark on a life-changing journey. First,

エピローグ

長かった文章もこれで終わりです。旅行の必携の書というよりは、私の思い出話に終始してしまった感があり、最後まで読んでいただけたことに感謝を述べたいです。私が海外に住んだのは2005年から2010年春までの5年間で、その後、新型コロナウイルスの流行になる前には少なくとも年に1度は海外に出かけていました。しかし、その後、3年間に渡って海外に行けておりません。時間はかなりすぎており、世の中が大きく変わっていることで私の経験談がどこまで役に立つかもちょっと不安なところがあります。コロナ

第五章 お金・仕事

401K401Kは通称フォーティーワンケーと呼びます。これを知っている人はかなりのアメリカ通ですね。その人は財テクに興味があるか、アメリカで働いたことがあるかのどちらかだと思います。401Kは日本でいう年金積立制度です。国民年金のような形でなく、個人が老後のために積み立てる年金です。この年金を積み立てれば、その分は税金の免除になります。私は、San Diegoの会社で働いたとき(2008-2009年)にはじめてこの存在を知りました。コーネル大学で働いていた時は、大学が年金とし

第四章 交通・安全

旅先で出会った悪い人・良い人?2019年秋、コーネル大学研究室時代の仲間が、トルコで教授になって国際会議を開くということで、初めてトルコのイスタンブールを訪問しました。ドーハを経由してイスタンブール・サビハ空港に到着しました。空港はイスタンブール近郊でアジア側に位置し、イスタンブール市内までバスでの移動でした。アジアとヨーロッパの境界であるボスポラス海峡に架かる橋を渡った時には、この旅の一つの目的を達成でき感無量でした。夕方ホテル近くのトルコ風ファーストフード店でトルコ料理を

第三章 住宅・保険・食事

アメリカの住宅事情留学など一時的な滞在をするときに滞在場所としてアパートを借りなければならないことが出てきます。アメリカでは、アパートの賃貸は基本的に1年契約です。この契約に私は常に悩まされてきました。1年ごとに借りなければいけないということは、年単位での引っ越ししかできないということになります。そのため、短期留学をする人が住むアパートを見つけるのは基本的に無理です。そこで登場するのが Sublet(サブレット:又貸し)です。よくあるパターンを紹介します。アメリカの大学は9月

第二章 英語でのトラブル

何度言っても伝わらなかった英語の発音。私が英語を使って伝わらなかった英語は多分、無数にあると思います。その中で自分がこれは何度やってもダメだなと思う単語をエピソードと共に紹介します。 まず一つ目は、アイスクリームの”バニラ”です。私は超甘党なので、アメリカで気に入っているところは、アイスクリームがおいしいというところです(ケーキは砂糖の塊にしか思えないので、超甘党の私でもNG)。そのため、おいしそうなアイスがあるとよく買っていました。アメリカの食事は、レストランでもどこでも

第一章 入国・出国・ビザ・パスポート

ビザ取得 最初の難関です。海外に長期滞在するときには、ビザが必要です。ビザなしでどれだけ滞在できるか、訪問の目的によってはビザが必要など、ビザについての知識は海外に行く人にとっては重要です。私はアメリカなどに長期滞在したことがあるので、ビザの取得は4回行っています。研究員としてアメリカの大学で働いたときは、ビザのタイプとしては交流訪問者のJ-1ビザでした。大学で勉強するために来ている周りの日本人の学生はF-1でした。J-2などのように2が付くのは、J-1ビザを取得した人の家族

世界へ羽ばたけ

プロローグ私は1968年生まれ。小中学生の時には野球に熱中し、外国人に初めて会 ったのは高校生になった時、海外はまさにテレビの中の世界で、日本テレビで毎年行われていたアメリカ横断ウルトラクイズを見て、アメリカは広いんだなということを感じていました。メジャーリーグベースボールのオールスターチームが日本に来て試合をするのを見て、すごいパワーだなと驚いていた世代です。時は過ぎ大学生になると、今考えると何となく海外に出かけることが頭に出てきた時期で、読書と映画が趣味で、読んだ本は『深

良い子は真似しないでね

今から書くことは、良い子は決して真似してはいけません。もし万が一真似しても、私は責任をとれませんからね。 貧乏ではないけど裕福でもない母子家庭に育った私は、「良い大学に入って良い仕事に就いて安定した生活をする」という模範的な目標を胸に中高六年間を真面目に過ごしました。高校では吹奏楽部に没頭した時期もありましたが、勉強はずっと真面目にやっていました。大学受験では滑り止めなしで第一志望に現役合格。ここまでは文句なしで「良い子」でした。 ところが、大学に入ってから……はじけちゃい