見出し画像

【1週間限定無料公開】グランディスオオクワガタの特大サイズを羽化させる飼育ノウハウ

24.6/22 解説をわかりやすくするため画像を追加しました。

こんにちは!Stag Beetleです。

今回はオオクワガタ属の中でも1、2を争う大型種、『グランディスオオクワガタ』の幼虫の飼育方法についてご紹介したいと思います!

グランディスオオクワガタには原名亜種インド・ミャンマー亜種(以下、moriyaiといいます)があるのですが、90mmを超えるのは今のところmoriyaiだけです。

飼育方法は全く同じですが、この記事で紹介する内容はmoriyaiの方になります。

グランディスオオクワガタは大きくするにはコツがあり、それが解らないと全然大きくならない癖の強い虫です。

この記事では、これまで飼育経験が無い方はもちろん、飼育経験はあるけれど大きく育てられなかったという方に向けて、飼育ノウハウを一挙公開します!



【孵化から羽化までの期間を把握しよう】

まず最初に、グランディスオオクワガタが幼虫から成虫になるまでの期間を把握することが重要です。

なぜなら、この期間を把握していないと、菌糸ビンを交換した直後に、ほとんどエサを食べずに蛹室を作ってしまって、最大限に成長しないまま羽化してしまうことがあるからです。

なので、あらかじめどのタイミングで菌糸ビン交換をするのか、逆算しておくことがポイントになってきます。

さて、孵化から羽化までの期間の内訳を見ていきましょう。

・幼虫:約10か月(オスの場合)
・前蛹:約1か月
・蛹:約1~1.5か月(サイズにもよります)
・合計 12か月

ご覧の通り、オスの場合は羽化までに約1年かかります。
幼虫期間は10か月です。
その間、必要になる菌糸ビンは概ね3本で、稀に4本目に突入する個体もいると考えてください。

次章からは各成長ステージごとの管理方法を紹介します。


【割り出し~菌糸ビン1本目の管理】

産卵材から割り出した初令幼虫

産卵から1か月程経過し、幼虫を割り出すと初令幼虫が出てきます。
グランディスオオクワガタの初令幼虫は、国産の大型血統などとは異なり、食性が強くありません。

筆者の経験上、カンタケやヒラタケといった腐朽の遅い菌糸ビンに初令幼虫を投入すると、成長不良になることが度々あったので、1本目の菌糸ビンには、オガが腐朽しやすいオオヒラタケを与えることをおススメします。

1本目の菌糸ビンで3か月程度管理します。
その間は、幼虫が活性化して大きくなり易い25℃程度の温度帯で管理すると、大きく成長することが出来ます。

1本目の菌糸ビンの容量は600~800㏄あれは十分です。

クリーンカップの中で育つ幼虫

【菌糸ビン2本目の管理】

1本目の菌糸ビン投入後、3か月経過したら2本目の菌糸ビンに交換します。

2本目の菌糸ビンは幼虫のサイズ(体重)によって使用する菌糸や容量を調整しますので、量りがあると良いです。

筆者の場合は下記のようにしております。

体重30g以上or頭が大きい個体
 
⇒ 2,000㏄以上のヒラタケの菌糸ビン

体重30g未満の個体
 
⇒ 1,400㏄のヒラタケ菌糸ビン
(成長不良の個体は2本目もオオヒラタケを与えます)

2本目への交換時に30gを超えている個体は有望です!

ここまで育てば消化器官も強くなっているので、ヒラタケ菌糸でじっくりと大きく成長させていきます。

一方、30g未満の個体でも2本目に大化けすることがあります。
下の画像のように頭が大きい個体は有望です。

2本目投入時5g(成長不良)だったのが、2か月足らずで推定40gになることも…

このように、急激に大きくなることもあるので、体重が軽かったからと言っても諦めずに大切に管理しましょう。

なお、大型化を狙う場合、2本目以降は20℃で管理します。

2本目の菌糸ビンも3か月で交換が基本ですが、中には急激に成長してエサが足りなくなることもあるので、菌糸の白い部分が3割ほどまで減っていたら、3か月以内でも交換してあげてください。


【菌糸ビン3本目の管理】

3本目もヒラタケ菌糸で20℃管理なのは変わりませんが、大抵はこの交換が最後になるので自分で菌糸を詰める場合は”固く詰め”しておきましょう。

固く詰めることで菌糸の持ちが良くなります!

さて、2本目と異なるのは菌糸ビンの容量です。
筆者は幼虫の体重に応じて下記の通り使い分けます。

体重50g以上 ⇒ 2,300~3,200㏄
体重40~49g ⇒ 2,300㏄
体重40g未満 ⇒ 2,000㏄

この時点で50g以上あれば85mm以上は堅いと思われます!

ただ、グランディスオオクワガタは幼虫体重と成虫サイズの相関性があまりないので、40g代からでも85mm以上が出たことが何度もあるので、羽化するまでのお楽しみです。

40g代からこれくらいのサイズが出ることもあります

蛹室を形成したら、ビンには触らずそっとしておいてください

前蛹になる前に蛹室が壊れると、再び蛹室を作ろうとして幼虫が縮んでしまい、最悪の場合蛹室を再形成できずに死亡します。

蛹になった後、蛹室内にキノコが生えた場合は、振動を与えないように気を付けながら露天掘りして、キノコを取るようにしましょう。

キノコが生えたので露天掘りした蛹室と羽化間近の蛹

【一口メモ】
幼虫体重と成虫サイズには相関性があまりないと言いましたが、蛹体重と羽化サイズは結構相関性があります。
もちろん、血統ごとの特徴や例外もあるので一概には言えないのですが、筆者の経験では蛹体重+55が羽化した成虫サイズでした。

羽化不全しなければ92mmくらいあっただろう蛹…

【筆者流 エサの考え方】

グランディスオオクワガタの幼虫には、腐朽が早いとされるブナのオガを使用した菌糸ビンがおススメです。

以前、オガがクヌギやエノキの菌糸ビンを使ったことがありますが、同じ親虫から生まれた兄弟でも、ブナを与えた個体群よりも小さく羽化してきました。

クワガタ専門誌『BEKUWA』の飼育レコード個体も、使用した菌糸ビンの樹種はブナなので、ブナとグランディスオオクワガタの相性が良いのだと思います。

また、オガの粒度も腐朽の速さ、並びに幼虫の成長速度に関係があるように思います。

1本目は腐朽が早い細かい粒度のオガで成長を促し、2本目以降は腐朽が遅い粗い粒度のオガ(+ヒラタケ)でエサの持ちを良くすることで、幼虫が老けずにじっくりと成長してくれるように感じます。

この辺は、飼育する環境や菌糸メーカーにも左右されるところだと思うので、色々と試行錯誤してみると良いでしょう。

なお、エサ交換でオガの樹種を変えると拒食を起こす場合があるので、1本目から羽化までは同じ樹種を選びましょう。


この記事が、読者様のクワガタ飼育のお役に立てれば幸いです。

それではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?