くわでい

京都大学大学院人間・環境学研究科M1。専攻は教育社会学。オルタナティブスクール研究して…

くわでい

京都大学大学院人間・環境学研究科M1。専攻は教育社会学。オルタナティブスクール研究してます。趣味はイラストと小説の二次創作。

最近の記事

「サイダーのように言葉が湧き上がる」がよかったよという話

今日、勢いで「サイダーのように言葉が湧き上がる」という映画を観てきた。この映画、実は前から気になってた。他の映画を観に行って予告を目にするたび、絵の綺麗さと主題歌の醸し出すエモエモな雰囲気にすごく惹かれていた。内容があんまりおもしろくないとかだったら嫌だなと思ってたけど、先日すでに視聴した研究室の先輩がかなりいいよと太鼓判を押していたのでそこら辺はきっと問題ないんだろう。今日はお昼過ぎに大学でワクチンを打ってきて左腕がそれなりに痛んだのだけど、もし明日熱でも出ていけなくなった

    • わかりたいという欲望について

      『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(以下、通称である『俺ガイル』と表記)という作品がとても好きだ。ラノベ発の作品で、かわいらしい容姿の女の子が数多く登場すること、そして何よりこのタイトルから「よくあるハーレムものなんでしょ」と誤解されることも多いが、抽象的で多義的な文章表現と難解なストーリー展開から、とてもライトなノベルとは言い難い作品である。 『俺ガイル』は高校を舞台に、主人公・比企谷八幡が教師である平塚静に「奉仕部」という部活に無理やり入れさせられるところから始

      • 人はいつ呪いから自由になるんだろう

        この年末年始は実家に帰っていたのだが、お昼過ぎに何もすることがなかったのでボーっとテレビを眺めていた。そこで久々に、連日再放送していたドラマを観た。僕の下宿先にはテレビがないので、きちんとドラマを観るのはかれこれ4年ぶりかそこらになる。中学生や高校生のときは、なんのドラマを観るのかで父や妹と熾烈なチャンネル争いが繰り広げられていた(そして大概負けていた)が、僕と父しかいない実家では当時のような血を血で洗う争いが起こるはずもない。なんの心配もなく穏やかにコタツにくるまり、適当に

        • サウナとは、理性からの解放である。

          日が沈み始めた夕暮れ時。研究室を出て、近場の銭湯へと自転車で向かう。 乱雑に置かれたママチャリの群れの間にわずかばかりの隙間を見つけ、他の自転車を倒さないよう、細心の注意を払って駐輪する。 派手な色使いで「男湯」と書かれた暖簾を潜り抜け脱衣所に入ると、銭湯特有のむわっとした空気に包まれる。 そういえば、今日は衝動的に来てしまったせいで、タオルやらボディソープやらシャンプーやら忘れてきてしまった。受付のおっちゃんに危うく通常料金だけ払うところを思いとどまり、数十円さらに払って

        「サイダーのように言葉が湧き上がる」がよかったよという話

          【雑記】「レンタル〇〇」は、いくつもの”自分”を生きる現代社会のオアシスなのかもしれない

          最近、「レンタル〇〇」が自分のなかで熱いです(唐突)。 本当につい先日、Twitterで「レンタルぶさいく」なるものをしている方を見つけ、「こんなサービス(?)あるんだ!」と驚きました。 上記のリンクから辿れるnoteをやっておられ、投稿記事をすべて読んだんですけどどれもおもしろかった。 そもそもこの「レンタルぶさいく」というサービス、提供者的には「合コンの負け役」や「イケメンだと緊張してしまう人向けのデートの相手役」といった用途を想定しているようですね。これが”ぶさいく

          【雑記】「レンタル〇〇」は、いくつもの”自分”を生きる現代社会のオアシスなのかもしれない

          【要約練習】Douglas B. Downey, Dennis J. Condron, 2016, "Fifty Years since the Coleman Report: Rethinking the Relationship between Schools and Inequality"

          ※本記事は、Douglas B. Downey, Dennis J. Condron, 2016, "Fifty Years since the Coleman Report: Rethinking the Relationship between Schools and Inequality" の要約です。筆者の要約練習になりますので、一部お見苦しいところもあるかと思いますが、あたたかい目で見ていただき、もしよろしければ誤りの指摘やアドバイスなどいただけると幸いです。 〈

          【要約練習】Douglas B. Downey, Dennis J. Condron, 2016, "Fifty Years since the Coleman Report: Rethinking the Relationship between Schools and Inequality"

          【要約練習】Marry Kate Blake, 2020, "Other Duties as Assigned: The Ambiguous Role of the High School Counselor"

          ※本記事は、Marry Kate Blake, 2020, "Other Duties as Assigned: The Ambiguous Role of the High School Counselor" の要約です。筆者の要約練習になりますので、一部お見苦しいところもあるかと思いますが、あたたかい目で見ていただき、もしよろしければ誤りの指摘やアドバイスなどいただけると幸いです。 要約の練習をしていきます。本日から、論文の要約をコンスタントにあげていこうと思います。

          【要約練習】Marry Kate Blake, 2020, "Other Duties as Assigned: The Ambiguous Role of the High School Counselor"

          【雑記】少年漫画における「行動派オタク」と「相対的正義」がエモい:『僕のヒーローアカデミア』について

          久々のnote更新です。今回は、初めてアニメについて考察…は言いすぎですが、感想めいたものを書こうと思います(以前声優さんについて書いたことはありましたが)。めちゃくちゃ守備範囲が広いわけではないですがアニメを観るのは結構好きで、時間をつくっては一気見するなんてことをしています。 そんな感じでいくつか観てきたアニメのなかで、今回は書くのは週刊少年ジャンプの看板作品である「僕のヒーローアカデミア」(通称「ヒロアカ」)です。 ヒロアカのアニメは、やっぱり王道バトルものらしい派

          【雑記】少年漫画における「行動派オタク」と「相対的正義」がエモい:『僕のヒーローアカデミア』について

          死を手元にたぐりよせる

          新型コロナウィルスが猛威をふるっている。それも、怒涛の勢いで。 今や、死と隣り合わせにいるのが高齢者やなにか重い疾患を抱えている人に限った話ではないことは周知の事実だ。都市圏や大学内での若い世代のクラスター感染も確認されている。3月29日12時時点で厚生労働省が発表したデータによれば、国内での感染者は1,693例、その内、志望者は52名にのぼる。その恐ろしさは、著名人の早すぎる訃報でさらに拍車がかかった。 思わず、家族にも連絡した。普段は連絡を頻繁に取りはしないけれど。 年

          死を手元にたぐりよせる

          まなびのさきで過ごした3年半

          昨日、大学1年生の10月ごろから講師をしてきた個別指導塾「まなびのさき」を卒業してきました。 京都市の西院ある小さな塾。毎週通うようになって、気づけば3年半の時間が経っていまいた。 卒業直前の2日間はドタバタとしていたのですが、ひとりの講師が出ていくというだけなのに、自分が1年半とか2年とか担当した生徒がプレゼントや手紙をくれたり、授業おわりの夜遅い時間にも関わらずお会いしに来てくださる保護者の方が選別をくださったりと、本当になんてすばらしく素敵な人たちに囲まれて時間を過

          まなびのさきで過ごした3年半

          「教育で未来をつくる」という頭でっかちな言葉と、それへの切実さ

          「教育で未来をつくる」。 それは、僕の所属するNPO法人ROJEの、活動のキーワードの1つだ。 ミッションでもビジョンでも理念でもなく、キャッチフレーズの1つに他ならない(と、僕は認識している)。 「教育で未来をつくる」とは、なんと頭でっかちで、歯の浮くような言葉だろうか。さして具体性も見えず、いかにも意識高めの学生NPO団体という感じがして、さむい。 だから、この言葉を肌間で感じるときが来るとは、夢にも思っていなかったのだけれど。 つい先月、「災害と教育事業部わたげ

          「教育で未来をつくる」という頭でっかちな言葉と、それへの切実さ

          2019/11/24 関西教育フォーラム2019

          所属団体NPO法人ROJEが、毎年京大のNFで開催する「関西教育フォーラム」。2019年のテーマは”キャリア教育”で、ゲストは隂山先生、すずかんさんに加え、若手起業家・前田裕二さんです。 今年はなんと記念すべき10年目だとかなんとか。4年生になった今年も、スタッフとして関わらせてもらいました。といっても、まあやったことといえばROJEのPR動画の製作くらいなものでして、フォーラムの中身について当日のスタッフとして以外特に大きく貢献してるわけじゃないんですが、毎年恒例のパネルデ

          2019/11/24 関西教育フォーラム2019

          2019/11/23 「小原好美のココに来たよin京都」

          今年の10月頭くらいに「月がきれい」というアニメ作品にドハマりし、すっかりヒロイン水野茜ちゃんの声優・小原好美さんのファンになってしまった10月中旬。何気なくタイムラインを追っていた時、偶然こんな過去のツイートが目に留まりました。​ なんと、京大に小原さんが来てトークショーを行うらしい。これは行かなくては後悔するということでイベントに応募したところ、見事当選できました。 一昨日実際にイベントに行ったところ、いいお話をたくさん聞くことができたので、そのレポートを残しておこうか

          2019/11/23 「小原好美のココに来たよin京都」

          近況報告・大槌から帰ってきて

          久しぶりの投稿になります。 今日、岩手県の大槌町から帰ってきたので、近況報告をかねて書き留めておこうかと思います。 9月16日~9月23日まで、所属先のROJEの「災害と教育事業部 わたげプロジェクト」のメンバー数人で、岩手県の大槌(おおつち)町を訪問してきました。 目的は大槌町でのProject Based Learning(PBL)。大槌の生活や文化に入り込み、地域の課題を知り、そのために自分たちのできることを考えるというものです。 現地の子どもたち対象の放課後学習支援

          近況報告・大槌から帰ってきて

          教育実践に携わる者の論理

          これ、このタイトルを冠したイベントをやる(かも)ので、書くのもどうかという感じの記事ではあるのだけど。 自分自身がこれからも探求していきたい大切な問いというか事柄なので、文字起こしを試みることにします。 大学生になり、僕は教育ボランティアをいくつかやってきた。 フィールドは児童館や中学生向けの放課後学習支援、公立中学校などなど。 ボランティアの中でやってきたのは、勉強を教えることもそうだし、子どもと遊んだりただ普通に話したりお菓子食べたり、といった類のこと。 自分が住む地

          教育実践に携わる者の論理

          弱さをさらけ出すには強くあらねばならない

          昨日、所属するある組織で強く感じたことが表題。 組織が多様な人材を求めて拡大傾向にある、その中で、従来の機構を貫こうとしてもうまくいかないという軋みが生じている。 これまで、当該組織は一つの強い理念に成員を「同化」させることによって、その秩序を維持してきた。 その同化のプロセスの中では、単に理念の共有のみならず、そこで成員がなすべき職務一つひとつに関しても、ある種の身体技法として細かく成員に叩き込まれ、成員がとにかく職務を模倣していくなかで、その理念の真なる価値に到達した

          弱さをさらけ出すには強くあらねばならない