2019/11/24 関西教育フォーラム2019

所属団体NPO法人ROJEが、毎年京大のNFで開催する「関西教育フォーラム」。2019年のテーマは”キャリア教育”で、ゲストは隂山先生、すずかんさんに加え、若手起業家・前田裕二さんです。
今年はなんと記念すべき10年目だとかなんとか。4年生になった今年も、スタッフとして関わらせてもらいました。といっても、まあやったことといえばROJEのPR動画の製作くらいなものでして、フォーラムの中身について当日のスタッフとして以外特に大きく貢献してるわけじゃないんですが、毎年恒例のパネルディスカッションなんかは中々印象深いものがあったので書き残そうかと思います。

過去最高クラスの質のパネルディスカッション

関西教育フォーラムは、毎年登壇者による基調講演の後、ゲストスピーカー(今年なら前田さん、隂山先生、すずかんさんの3名)と学生登壇者によるパネルディスカッションが行われます。今年度も例にもれずその構成。司会を務める学生登壇者の話題提起から出発し、ゲストにお話いただくという感じです。
個人的な意見ですが、スタッフとしてパネルディスカッションを見ながら、これまで自分がスタッフとして関わらせてもらったどのフォーラムよりも、ディスカッションの質、もう少し詳しく言うと、「会話のキャッチボールの質」が高かったように感じました。
振り返ると、その理由は2つあるんじゃないかと思ってます。

①学生登壇者および彼を支えたスタッフのレベルの高さ
壇上に上がるスピーカーの内、学生は唯一「なにも専門性を持たない人」になります。ゆえに、学生の立場としては「自分たちの立てた筋書きに沿いながら、いかにスムーズなパスを登壇者Aから登壇者Bに出せるか」ということになる(ならざるを得ない)と思います。
今年はそのパスのセリフ選びとかタイミングとかが、例年に比べて目を見張るものがあったんじゃないかと感じてます。登壇者の度胸、そしてそれを裏で支えたスタッフのレベルの高さを感じました。ディスカッションの内容が、常に「個人のマインド」的な視点から離れなかったところも、もしかしたらそれをアシストしていたかもしれません。

②ゲストスピーカー同士の絶妙なバランス
そしてこちらも結構重大な事柄なんですが、ゲストスピーカー同士のパワーバランスが絶妙だったことも、質の高いパネルディスカッションを演出した大きな要因になったかもしれません。今回のゲストの中でも、すずかんさんのような圧倒的な「突破力」を持つ方は、話題というか話の流れを一気にひっくり返すパワーを持っているのですが、前田さんがそのちゃぶ台返しからいい感じに気づきを拾いながら自分の論を組み立てていく、という構図が何度か見られました。前田さんすごい会話のキャッチボールうまいなあ、と感動したのですが、思えばこんな充実したスピーカー同士のバランスは久しくなかったのではないかと。とにかく、いい話を聞かせてもらったなという感想を持ちました。

議論の内容について

さて肝心のパネルディスカッションの話自体ですが、特に”教育者の心持ち(学生登壇者の言葉でいうところの「キャリア教育という視点」にあたるでしょうか)”について詳しく言及がなされていたように感じました。教科についての話はややシチュエーションを限定しすぎるきらいがありましたが、よりエッセンスの部分だけで言うと、「コア」「市場」といった話は(前田さんの言うように)「情報発信者としてのコストが大きく下がってきている現代」において教育者として持っておきたい視座かもしれませんね。教育現場での評価の文脈に回収せず、子どものコアを見つめながら子どもと一緒に市場(社会)を眼差す(=社会に開かれた学び)、というのは極めて現代的な教育者像のような気がしました。

さらに話を進めるとするならば

充実した内容のディスカッションだったように思いますが、さらに話を進める上であと2点、個人的に考えていたことがありました。

①教育実践を開拓していくこと
今回のパネルディスカッションの内容は、スピーカーの得意分野も影響してか悪く言えば抽象的で、なかなか具体的な教育実践の様相まで掘り下げることができなかったように思います(登壇者の学生も議論のなかでより実践レベルの話を展開しようと試みていたと思いますが)。キャリア教育は”視点”でありつつも、それで終わらせてしまえば単なる抽象論。子どもたちの「コア」を掘っていくにあたり、どういったしかけを考えることができるかは具体的な実践を検討していかないとなかなか難しいように感じます。

②内省にたどり着くまでのコミュニケーション
そしてもう一つ。今回の話の中では、「子どもたちの興味関心を引き出し、(テクノロジーを頼りながら)それらを実現させる」といった趣旨の教育が語られていました。ですが、そこには子どもと他者とのコミュニケーションの在り方が見えて来なかったようにも思います。ディスカッション中、すずかんさんが何度も「コア」と言い、とにかく興味関心から出発することの大切を力説されていました。そして前田さんは、最後に「内省」という言葉を用いて、自らの「人生のコンパス」を見つめ鍛え上げることを語っておられました。しかしながら、(これは前田さんも言及していたことですが)自分の人生のコンパス(そしてひょっとしたらコアも)は、だれにも見せたくないほどに、というよりは自分で直視したくないほどに、重苦しかったりナイーブなものだったりするかもしれない。そんなときに、子ども(というか一個人)に対してどんな風に自分が他者の内省に寄り添っていけるのかということを考える必要があると思いました。そのときの「内省に寄り添う」って、きっと相手だけでなく自分の生存の基盤も揺るがされるくらい重たいものだったり、素朴すぎて内省の方向性が見えないものだったりすると思うんですよね…。その際に、自分が相手とどんなコミュニケーションをとっていくのか。個人的には、カタリバ代表・今村久美さんの語る「”ナナメの関係”にたどり着くまでのコミュニケーション」にヒントを求めたいですが。

おわりに

自分の知識不足で文章の歯切れの悪さでなかなかいい感じにかけなくて悲しいですね…。いろいろと勉強させてもらった機会だったので、もうちょっと勉強して頭が整理された後にまた書きたいなあと思います。


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