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瀬尾まいこ 「そして、バトンは渡された」読了

金曜日の大雨とはうって変わって、今日は暑いくらいの日差しが
愛知県に降り注いでいます。
ただ風があるのがありがたく、思ったよりも快適に過ごしています。

今日は、読書感想の更新です。
瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」を読みました。

瀬尾さん、非常に好きな作家さんでして。
ミステリーを中心に読む僕の読書週間において、その合間で、
ミステリー特有の重たくなったものを、一気にほぐしてくれるかのような
読後感をもらえるので、非常にありがたく感じています。

そんな瀬尾さんの本作。
2019年度の本屋大賞を受賞し、さらには映画化まで決定しています。
「そして、バトンは渡された」映画予告編

そんな話題の作品。
ワクワクしながら読み始めました。

■簡単なあらすじ

物語は、優子という女子高生が主人公です。
優子はこれまでに苗字が何度も変わってきました。
水戸に始まり、田中、泉ヶ原、森宮。
その数だけ、親が変わってきた。
そんな優子のこれまでの人生の歩みを振り返りつつ、家族の愛について
読み手は触れていくことになります。

血のつながらない家族を多く持つ優子にとって、家族の愛情とは何か?

■読書感想


幸いなことに、僕には両親がおり、いまも健在であり、苗字を変えなくては
いけないような家族が離れ離れになるような出来事は経験していません。

いわば、当たり前にそこにあった血のつながりと、愛情。

片親であったり、両親がいない人は可哀そうという、いつしかそんな見方が
僕の中には根付いてしまっていたのだなと感じることができた小説です。

それほど、優子は幸せに暮らしています。
これまで親になってきたすべての人からの愛情をしっかりと感じてきているのです。

いい人に恵まれたのだなと言ってしまえばそれまでかもしれないですが、
優子という人間がそう言った、血のつながりの有無に起因しない
愛の形を生み出してきたのかもしれません。

なので、決して不幸な境遇に胸を引き裂かれるような物語ではありません。
人と人とのつながりの強さ、深さを改めて知ることができる、すがすがしい作品でした。

複数の親から渡されたバトンとは何なのか?
血のつながらない親子のがそれぞれに持つ家族を持つという意味は何か?

作中の文章を通して、いままで考えもしなかったそれらの意味を
僕なりに納得することができ、血のつながりがないからこそ、そこにある
愛情の形を的確にとらえられるのかもしれないなと思います。

■瀬尾まいこさんの小説の好きなところ


最後に、瀬尾まいこさんの作品の特徴は、おいしい食事シーンが満載なのも
特徴です。
今回も、餃子やかつ丼などおいしそうな食品が出てきて、
おいしい小説としても楽しめます。

「天国はまだ遠く」
「強運の持ち主」
「僕らのごはんは明日で待ってる」
などでもおいしい食事シーンが満載でした。
瀬尾さんの作品が大好きな理由として、このおいしそうな料理や食事のシーンが
あって、「食べる」=「生きる」という相関で物語にも説得力が
増していく気がします。
おいしいものを食べれば、大概のことは何でも乗り越えられる!
まるでそういってもらえているような気持になります。
ぜひ、おいしい活力にあふれた瀬尾さんワールドに触れてみてください。

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