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成田名璃子 『東京すみっこごはん』 読了

今回の読書感想は、成田名璃子さんの「東京すみっこごはん」。
実際には2年ほどまでに読んだ作品ですが、とても好きな作品なので紹介したいなと思い、別ブログで書いていた感想をnoteの方にも載せてみようと考えました。


本作はシリーズ化している作品で、現在5巻まで出てシリーズは完結しているようです。
タイトルからわかる通り、「食」をテーマにした小説。
様々な人間が共存する都市、東京。
そんな都会の片隅、とある商店街のわき道にある古ぼけた一軒家。
そこは「東京すみっこごはん」という名の共同食堂。

縁もゆかりもない老若男女が集い、職を共にする場所。
くじ引きで食事登板を決めて、当番になった人はレシピに沿って
みんなに手作りご飯をつくって振舞う。
素人だけど関係ありません。
まずくたって黙って食べる。
そんなルールのちょっと変わった場所です。

女子高生、和食の料理人、公務員のおじさま、世話焼き主婦、
OL、タイ人、バンドのヴォーカル男子、競馬好きのおっちゃん。
そんな人たちが食を共にするという不思議。
この場所が、なぜ生まれたのか?
4編からなる短編でそのルーツに近づいていく物語。


僕は基本的に「食」をテーマにしている小説に外れはないと思っています。
今回も、とてもほっこりとする、素敵な作品に出会えたと感じています。

4編の短編からなると書きましたが、上記メンバーの4人に焦点が
当てられ、それぞれの視点と想いからこの場所の存在価値が語られていきます。
最後の話では「すみっこごはん」のルーツが明らかになり、エピローグで
結んでいきます。

読み進むうちに、ルーツについては見えてくるのですが、
それが良いんですよね。
そうであってほしいところに、ちゃんと着地する安心感。
それであっても胸にグッとくる感動。
素敵な読後感をとても得られる作品でした。


「食」は命につながる大切な要素。
自然と生きることや人生、紆余曲折、挫折とも近くなってきます。
だからこそドラマになりやすいのかもしれませんね。

知らない人と共にする手作りご飯。
どんなに初めてのひとったちであっても、食卓を共にすると
なんだかジンワリ距離が縮まっていく気がしますね。

「おいしい」は世界共通の言語だなって思いました。


是非、手にとって読んでいただきたい作品です。

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