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視点を変えると見える世界が違った。

「病院行ってきなさい」
主人が私に向かって言った。

主人の視線の先には
パンパンに腫れた私の右手中指。


「それ、ダメなやつだから行ってきなさい」 
ヘラヘラ笑っている私に主人は釘をさした。



指先にささくれができているなぁ
そう思っていたのは
1週間くらい前か

なんてことない
ただのささくれ。


なーんて思っていたのに


気づけばどんどん腫れて、
しまいにはジンジン痛みまで感じてきた。



私は病院が好きではない。

正確には『病院での待ち時間』が好きではない。
(誰しも好きな人はいないと思うが・・・)

そして、
自分が薬局で働いているにも関わらず
出来れば、自然に治るならそれがいい。

なんて言うと聞こえはいいかもしれないが

結局、ただの面倒くさがりである。


「そのうち治るよ~」なんて誤魔化していた私が

病院受診を決意したのは、

お風呂場でシャンプーのボトルに
問題の指があたっただけで

指先から痛みがビリビリと伝わり、

涙目でしばらく動けなくなってしまったこと。


年末年始を迎えるにあたり
この痛みを抱えて年を越すのは嫌だ!
と、ようやく重い腰をあげて病院に向かった。


向かったのは、近所でも評判の皮膚科。
インターネットでも予約はできるようだが、
初診は外来受付のみ。


9時からの診察開始だが、
出遅れ、9時半過ぎに到着すると
すでに待合室の椅子はほぼ満席。

その雰囲気に圧倒されながら、
「初めてです。お願いします。」
と受付で保険証を出すと
「受付番号をお渡ししますね」
と差し出された番号は「58」だった。

これは、長丁場になりそうだ。
そう覚悟して、

なんとか空いていた椅子に腰かけた。


待っている時間に・・・と持っていった本。
1冊をまるまる読み終えて、
時計を確認すると1時間が経過していた。

はて、どうしたものか。

読み終わった本をかばんに入れて
しばらく待合室を伺う。


隣の女性はベビーカーで赤ちゃんをあやしながら
私よりも先に待っている。

座れなくて、しばらく立ったままの人もいる。

皆さん、
こうやって病院で待って、診てもらって
薬局に来られている状況なんだな。

久しぶりに自分も体感することで
改めて、患者様の気持ちを知る。


結局、名前を呼ばれたのは
受付を済ませて約2時間後のこと。

先生が一人でずっと診てらっしゃることを思うと
頭が下がる思いになりながら、

優しく診ていただき

水仕事やアルコールで手が荒れて
そこから菌が入ったのだろう。
腫れているところに
膿がたまっているので抜くと楽になるから、と、

手際よく両手にビニール手袋をはめ、先生は
指の腫れた部分のきわにゆっくりと針を刺していった。

痛みを覚悟したものの、
針を刺された痛みはほとんど感じず!
しっかり膿をだしてもらい、

飲み薬も飲んだほうがいいから出しておくこと
手荒れもあるので、保湿剤と炎症止め

先生が電子カルテを入力している間に
テンポよく看護師さんに塗り方を教えてもらい、

「お大事に」

診察室を後にした。


受付の方も一人一人丁寧に対応されていて、
日々の自分の業務の粗さを反省しながら手にした処方箋。


自分が働いている薬局でもらいたいところだが
次の出勤日は明後日。

これは、病院に引き続き、薬局も社会科見学だ!と思って


帰り道にあるドラッグストア併設の調剤薬局に足を運ぶ。

結果、これが、また自分の学びになり、

最初にこうするといいのか!とか
こうしてもらうと嬉しいのか!!とか

次の仕事の時に活かそうなことを
心の中に留めた。



見る視点が変わると見える世界が変わること
また、自分の業務を外から見る機会をいただいたこと、

そして、痛みなく、手が扱えるということも
ありがたいんだなぁと

まだ腫れは残るものの
痛みがひいた指を眺めながら、そう、思った。

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