『三点リーダー症候群』

　巷で流行っているらしい『三点リーダー症候群』なるものに夫が罹ってしまった。
　私はその分野の専門医がいるという病院へ、夫を診せにきていた。

「さて、症状の進行具合はどのくらいですか？」
　と医師が夫に尋ねるも、
「……」と夫。
「ふむ。これは重度の症状ですな」

「もうずっと、これだけしか言わないんですよ。これでは話も出来なくて。どうにかなりませんか？」
「治すのはかなり面倒ですよ？」
「覚悟しています…」

「おい！」
「え？！夫が『三点リーダー以外の言葉を！」
「三点リーダーは『……』って２つ重ねて使うのが決まりだろ！」
「ん？どういうこと？」

　医師曰く、
「近くの人間が三点リーダーを、『自分が思っている決まりと異なる使い方』をすると怒りを感じ、それで治ります」

「小説ではそういうルールになっているんだよ？　お前も覚えろよな……」
「うわ、面倒くせぇ…」

（おしまい）