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『アイドル引退宣言』
彼女の人気は爆発的に広がった。
それもそのはず。
彼女は今時のニーズに沿った魅力を兼ね備え、時代が求める存在だった。
それゆえ、日本中に名が知れわたるのに、時間はかからなかった。
メディアもこぞって彼女を取り上げた。
各地でグッズが売り出され、色々な企業ともコラボするほどになった。
まさに、神の如きアイドルだった。
しかし彼女は元々人前に出るのは苦手だった。
それに同業者からもあまり良く思われていない。
次第に、自分がこんなに目立って良いものかと思うようになった。
ある日彼女は決心し、皆の前で言った。
「……わたし!」
「普通の妖怪に戻ります!」
アマビエはそう宣言すると、地面にマイクを置いた。
普通の妖怪って何だろう……。
人々がそう疑問に思うなか、アマビエは地元の熊本へ帰っていった。
以前ほどではないが、時折り姿を見かけるので、たまに様子を見に来てくれているようだ。
おしまい。
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