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『照らすVOICE』の照らす解説 Vol.1

2020年4月
自粛期間中から始まった完全リモート企画『照らすVOICE』

“明かりだけ”の朗読劇
いかがでしょうか。楽しんでいただけてるでしょうか。
まだ見ていないという方はこちらから。
チャンネル登録ぜひしてください!
視覚的な情報を照明だけに限定することで登場人物を、背景を想像しながら見てもらえたらと思っています。

作品数が溜まってきたので、ここに備忘録としてどういうイメージで照明を作ったのか解説していきます。
決して正解ってわけではないです。自由に見て解釈してもらえれば嬉しいです。

専門用語は解説入れようと思いますが、わからない単語があったらコメントで教えてください。他にも質問感想もらえたら嬉しいです!

今回は第1弾『硝子の靴』です。
初回なので、無料で公開です!

まずは本編からご覧ください。


セット

視覚情報が照明だけとはいえ、舞台がありセットとして白い箱を使用している。
毎回この白い箱を配置するところから始まる。
ちなみに舞台は白と黒があり、今回は白。

イメージは立派な城。
王子様サイドのお話なので、舞台は城の中が多めになる。
城壁っぽく見せるために奥壁に小さな箱を貼り付け、床にも均等に箱を配置した。
また、正方形の箱は人のイメージで、たくさんある箱にスポットが当たったときに人に見せるようにし、見栄えを気にして目立つように2つ重ねた。

照明

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タイトル〜モノローグ
題材がシンデレラということで、メインカラーは淡い紫に。
ここではまだ登場人物は出てこないので、トップで色をつけるイメージシーン。
華やかさが欲しくゴッデスというくるくる回る機材を使用。ディフュージョン※をかけてほわっとさせている。

※ディフュージョン・・・カラーフィルターの種類。色を変えるわけではなく明かりをぼかす効果がある。

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城中のシーン
向かって左を王子様、右をその他の登場人物として、王子様の日記のシーンは左のスポットをつけた。
いわゆる地明かり※を使用。部屋中で日記を書いたり喋ったりしているイメージで電球色ぽくしている。

※地明かり・・・一番基本的な素の明かり。これを綺麗に作ることが一番難しいと思っている。

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黄色のお花を見つけるシーン
どこかの箱を黄色く当てることも考えたが、見る媒体がスマフォなど画面が小さいこと考慮して、空間全体で色を表現していくことにした。
王子さまの気持ちが黄色にお花でいっぱいになったように見せ、剣の稽古に向けて勇気が湧いてくるようなイメージ。

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市場のシーン
人里の賑わいや店のイメージで上下に筋を出した。明かりは一つだが、たくさん露店が並んでいる。
背景をグリーンにしているのは城の中と分けるために変えている。外っぽさを表現しているが、他のシーンとのバランスを見て、オレンジにしたりブルーにしたり、単純に明るくしたりもする。オレンジは夕日っぽく、ブルーは夜っぽく見えてしまう。

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店主のおっちゃんにピンクのお花をもらう
黄色の花と同じく全体をピンクにすることによって王子さまの気持ちが明るくなったことを表現。ここではまだ露天の上下の筋はそのままに。

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もらったピンクのお花をすぐにララにあげる
声のトーンに合わせて、ブルーな気持ちに。
この時は上下の筋を消すことで明かりは一気に王子さまの気持ちのみに焦点を当てている。奥の青白い筋も男がお花を身につけることへの抵抗と葛藤の陰りを表している。

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舞踏会当日モノローグ
BGMの雰囲気に合わせてテーマカラーである淡い紫に。曲も相まって高貴なイメージに。

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舞踏会会話シーン
地明かりに少し白を混ぜて華やかさを演出している。この後のシーンでもっと華やかにしたいため、ここでは少し抑えめに。順番に明かりは作っていくが、前後のバランスを見て前のシーンを直したりよくする。

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シンデレラが出てくるところ
SEのキラキラキラに合わせてゴッデスを回している。状況の明かりと言うよりは、王子さまの気持ちがシンデレラを見つけてキラキラしている様。

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シンデレラとの会話シーン
気持ちを表現していたゴッデスを決して、舞踏会の明かりへ。踊る前なので少し暗めに、二人の距離感を目立たせるために真ん中だけピンクにしている。
前後のシーンで色のバランスの他に、明るさのバランスは重要である。次のシーンを明るく見せたいため直前のシーンは暗めに作ったりする。


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ダンスシーン
この作品の中で一番華やかなシーン。ゴッデスを回しながら、LEDがピンク→ライトグリーン→ライトブルーとチェイス※している。

※チェイス・・・明かりが短時間でついたり消えたりするエフェクトのこと

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噴水のシーン
ララに花をあげたシーンと似ているが、ここは状況説明的な明かりである。
暗い夜、月明かりに照らされながら密かに会話をしている。噴水であることはSEが説明してくれているので、ここではその密会さを重要視した。

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翌日のシーン
王子さまのシンデレラへの気持ちを引きずるように淡い紫のイメージ。
BGMとも合わせてあるし、お城のシーンである状況説明も兼ねている。

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靴を探しに行くシーン
城の中を生っぽい※明かりや淡い紫にしていたので、わかりやすく城の外のシーンはグリーンで統一した。

※生・・・電球色、カラーフィルターを使用していない状態。

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ラストシーン
「こちらの靴を履いていた方を探しています」と最後シンデレラにはまだ会ってはいないが、これからのことを想像させるように王子さまのドキドキやワクワクをイメージしてピンクに。少しだけ明かりが先のことを表現している。


以上です。
いかがでしたでしょうか。
私はこんなことを考えて明かりを作りました。
あなたならどんな明かりをつけるのか想像してみてください。

次回は第2弾『家の近くの小さな林』を解説していきます。
お楽しみに!

舞台照明家 中佐真梨香


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