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#451 「リスキングとアンラーニングの定量調査」を読んで

パーソル総合研究所のレポートを読んで思ったことを、メモ。


1、どんな調査?

パーソル総合研究所が今年7月21日に公表した「リスキングとアンラーニングについての定量調査」です。

本調査は、パーソル総合研究所がリスキリングに関する個人の実態について、定量的なデータで把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に、全国の就業者(正社員20-59歳男女3000s)を対象に行ったものです。

いろいろと興味深い内容となっていますので、詳細はリンク先をご覧いただくとして、私が気になった点をご紹介していきます。


2、リスキング経験があるのは約3割。

まず、リスキング経験の有無ですが、3割が経験があり、デジタル・リスキングは2割、という結果です。


3、変化の激しい業種ほどリスキング経験率が高い?

業種別にも分析されているのですが、情報通信業、電気・ガス・熱供給・水道業、教育学習支援業、金融業・保険業が多く、運輸・郵便業が低くなっています。高い業種は技術革新のスピードが速い、あるいは業界自体が規制緩和や競争環境の激化などのプレッシャーにさらされている業種のようです。


4、「変化抑制意識」が阻害要因!

このレポートを読んでいて最も気になった点が、リスキングの阻害要因です。パーソル総研によるとそれは「変化抑制意識」だと分析されています。

つまり、新しいことを学んだところで「今の組織で仕事のやり方を変えるのは大変だ」とか、「上司や周りの考えを変えるのは無理だろう」とか、「自分だけ仕事のやり方を変えてもしょうがない」といった「あきらめ」の意識が阻害要因だ、ということです。


5、「変化抑制意識」は他にも悪さする!?

この「変化抑制意識」はリスキングに限らず、通常業務にも悪影響を与えます。
具体的には以下のようなことです。
☑️ 仕事について深く考えたくない
☑️ 仕事は人生のごく一部の要素でしかないと割り切る
☑️ 仕事にやりがいや意味を見出したりしない

…思い当たるところがないでしょうか?
パーソル総研さんはこの症状を「縮小的な仕事意識」と名付けています…


6、解決策はあるのか?

さて、気になるのは解決策です。

もちろん、個々人の意識を変える、ということではあるのですが、企業として考える場合に重要なのは、リスキングが流行りだから、人財育成・活用が投資家の間で俄に話題になっているから、ということで、学べるメニューを用意したり、自己啓発の支援金制度を導入したりしたところで、従業員の「あきらめ」という意識を変えない限りは、全く意味がない、ということです。

パーソル総研さんの提案は以下の通り。

つまり、
☑️ 挑戦を共有し支援する
☑️ 仮に失敗しても問題としない、むしろ再挑戦を奨励する
☑️ 変化した場合にその負荷を上回る報酬を設ける
といったことです。

これは、大きな人事評価制度の変更です。
そして、それを本気で定着させようとするなら、それは企業文化そのものを変化させること、です。


7、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

パーソル総研さん調査結果のご紹介でした。

こうした調査結果を見るといつも思うのですが、解決策は明らかでも、実際にそれを実行し、定着させるのは非常に難しい、ということです。

しかもこうした人材系の施策はすぐに目立った成果が出るわけでもないので、経営レベルが言い続けないとすぐに元に戻ってしまいます。

だからこそ、これができている企業と、できない、あるいはカタチだけ真似している企業との差は気がつけば取り返しのつかないぐらい開いている、ということになるのです。

それは、個人レベルでも同じ。わかっちゃいるけど、で過ごすか、やってみるか、で過ごすか、すぐには見えないですが、気がつけば…

まぁ、会社のために学び直しする、っていうのも癪ですから、自分が本当に好きな分野を学ぶっていうのもあり、ですね。


最後までお読みいただきありがとうございました。

調査のご紹介でしたがどこか参考になるところがあれば幸いです。





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