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『刑事何森 孤高の相貌』

今日は久しぶりの本紹介シリーズです。本紹介シリーズのはしりのデフ・ヴォイスの作者の丸山正樹さんの新作(というのは嘘で9月に出版されたが読んでなかった)の『刑事何森 孤高の相貌』の紹介をしたいと思います。

こんにちは、くつばこ+のうたです。うた的にはお年玉は普段からあまりもらってないですし、物欲もないのでお金にはあまり困ってはいませんが、お年玉がほとんどもらえていないのは悲しいですね。

☆さらっと紹介

今回の本はデフ・ヴォイスなどでおなじみの主人公である荒井直人ではなく、脇役のようにでてくる何森刑事を主人公とした3つの短編集です。なので、デフ・ヴォイスとは違い、聴覚障害の話は出てきません。また、著者も「障害者ばかりを題材とした本を書くのは違うのではないか」と言われ少し気にしているようです。しかし、今回も社会的弱者の人に対して焦点が当たっている小説になっていて、著者の読者にこんな人もいるんだな、と気が付かせたい感がかなり伝わってきます。やっぱり、優しい人なんでしょうね。

☆介助者側が助けられてる?

『こんな夜更けにバナナかよ』を読むと、介助する方も障害者から元気のような何かをもらうことがあることを実感できると思います。それが行き過ぎるとどうなってしまうのか、っていうのが1作目のメインテーマのような気がしました。僕自身、この本を読むまで考えたことも聞いたこともなかったテーマだったので、とても興味深かったです。

☆誘導に乗って自白してしまう?

2作目のテーマは、自白の強要をしたと言い切れる感じではなくても、実際には「自白の強要」になっていしまうこともあるよっていう話でした。要するに、暴力とか長時間の拘束のようなことなしに、警察によって作られた台本通りに供述調書が出来上がってしまうようです。これも一種の発達障害の一種です。

☆記憶障害ってなに?

3作目は記憶障害がメインテーマになっていると思います。記憶障害と言っても様々あるみたいですが、そんなことに関しても触れられているのでお勧めです。これは短編といいなが
ら少し長いんですけどね。まあ、その分山がいっぱいあるので、読んでて楽しいと思いますよ。

ということで、今日は『刑事何森 孤高の相貌』の紹介をしました。聴覚障害と違って考えたこともないような社会的な弱者がでてくるので、良かったら読んでみてください。デフ・ヴォイス同様、ミステリーとしても楽しめるのでとてもおすすめです!


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