10.休日
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「これまでに手に入れた情報を解析した。血盟会のカネの流れが掴めたわ」
ある喫茶店。永久はドーナツを食べながら向かいの席の二人に言った。
「血盟会はあるものを発注していた。何だと思う?」
「核弾頭?」
あんこドーナツを食べている日与の言葉に永久は笑った。
「惜しい。爆弾よ。それも高層ビルを真っ平らに出来るくらいおっきなやつ」
「国会議事堂でも爆破する気かな?」
永久は首を振った。
「そこまではまだわかってないけど。ともかく、何か大きな企みが動いているのよ。きっと血盟会の中でも大きな力を持つ幹部が関わってる」
日与の目が狂犬の光を宿した。彼の脳裏には大前、そしてドラゴンブレスを殺したときに聞いた声がよぎっていた。
「やっとあの電話の野郎がお出ましか」
「かも知れないわね」
昴が気づかわしげな声で言った。
「永久さん、休んでますか? 顔色が……」
永久はただでさえ激務の警察業務の合間を縫って日与と昴に協力しているのだ。目が黒く落ち窪み、傍目にも肌が荒れて美貌に影が差している。彼女は気丈に微笑んで言った。
「私は平気。データの全貌を解析するにはまだ時間がかかるわ。あなたたちは少し休みなさい」
(続く……)
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